女子ツアーの低年齢化が加速? 受験資格が17歳からに
2019年より何が変わるのかというと、まずはプロテストの受験資格が18歳であったのが17歳に引き下げられること。これにより受験人数は増える反面、合格ラインは変わらず20位タイということで、単純に競争率が上がりプロテスト合格が今まで以上に狭き門になる。
また、次の年の出場順位を争うQT(クォリファイングトーナメント)の出場資格が、LPGA会員限定になる。今までLPGA会員でなくても「TP単年登録」という形で出場できていた選手たちにとってはこれは由々しき問題。レギュラーツアーで常に賞金シードを獲り続けられれば関係ないのだが、もし、シード落ちしてしまったら……? プロテスト合格の重みがさらに増すことになる。
そこで頭を悩ませていたのが、昨年賞金ランキング41位で賞金シードを獲得していた三ヶ島かなだ。レギュラーツアーに出場してはいるものの、彼女はTP単年登録の選手である。つまり、プロテストに通っていない。
試合に出られるんだからいいじゃないかと思うかもしれないが、もしプロテストを受験せず、あるいは受験しても合格できずに、かつ賞金ランク50位以内に与えられるシード権も逃した場合、今後はQTに出場できなくなってしまう。来年の働き場を得るチャンスすらなくなってしまうわけだ。そして、プロテストの週には通常のトーナメントも開催される。ツアープロとしては、賞金の出ないプロテストより、ツアー競技に出たいに決まっている。
レギュラーツアーの出場を見送ってプロテストに挑戦するか、プロテストを受けずレギュラーツアーで成績を残し、賞金ランキング50位以内に与えられるシード権を目指しつつ、トーナメントに優勝することでプロ資格を得る道を目指すか……悩ましい選択を迫られた末、三ヶ島が選んだのが「プロテストを受ける」という選択だった。
プロテストを2週間後に控えたサマンサタバサレディスの会場で、この決断について三ヶ島に話を聞くと、ポツリと、偽らざる本音を聞かせてくれた。
「今回、シード選手としてプロテストに出るのは、私としては屈辱的でもあるんです……。シード選手としてこのままレギュラーツアーを戦うか、プロテストに出るか、最後まで悩みましたね。プロテストの申し込みも本当にギリギリでした。締め切りの2日前」(三ヶ島)
2017年、36試合に出場して賞金ランク41位、賞金3000万円弱を稼いだ堂々たるシード選手なのだから悩むのは当然だ。それでいて、プロテストを受けなければならない……。その背景には、なかなか波に乗り切れない2018年の現状がある。
「(悩んだ末にプロテスト受験を決めたのは)現状の順位を見て、ですね。(7月19日現在賞金ランキング71位)このまままた来年賞金シードが獲れるか……って、本当に悩んで真剣に考えました。現状を踏まえて、『プロゴルファー』としての先を見て、よりチャンスがあるほうにって。そう考えたらプロテストを受けるべきだと思いました」
実は三ヶ島は2015年に最終プロテストを受け、2打足らずに不合格となっている。それでもその年のファイナルQTで5位、翌年のファイナルQTでは1位と結果を残し、2017年の賞金シード獲得につなげたという背景がある。自分の力でツアーで居場所を勝ち取り、プロとして歩んできた道があるのだ。
プロテストを翌週に控えた今週開幕したセンチュリー21レディース、三ヶ島は初日を2アンダー、16位タイで終えた。繰り返しになるが、ツアー優勝者にはプロ資格が与えられる。大逆転での“プロテスト回避”の可能性は、まだ残されている。
撮影/矢田部裕 取材大会/サマンサタバサレディース