深い吐息のあと「本当に寂しいよ。ここには素晴らしい思い出がたくさん詰まっているからね。このコースでプレーするのが大好きだった。最初はこじんまりした大会だったのがどんどん大きく立派な
トーナメントになって、他の場所に移らなければならなくなった。仕方がないけれど寂しいね」とタイガーは名残惜しげに言葉を紡いだ。
1999年から2009年(2008年は欠場)までの10大会でタイガーは一度もトップ4を外すことなく7勝を挙げた。トータル15回の出場で8勝だから勝率5割を超えている。まさに彼のためにあったトーナメントの1つといっても過言ではない。
2日目までは上位争いに加わったが3日目は「体調が悪いわけでもケガをしたわけでもない。ただ酷いゴルフをしただけ」と3オーバー73で優勝戦線から離脱。
もう優勝のチャンスはないと自覚して挑んだ最終日はイチかバチか「とにかくピンをデッドに攻めることだけを考えた。ハマれば62、63もあるけれど外れれば70台半ばを覚悟しなくちゃいけない」と終始一貫攻めのゴルフを貫いた。
1番、2番連続バーディでスタートしたときには60台前半もあり? と期待させたがあとが続かず、後半は3バーディ、3ボギー、2ダブルボギーの4オーバー。9ホールでパーが1つしかないローラーコースターのような内容で2日連続73を叩いて31位タイにとどまった。
それでも1年前の今ごろ世界ランク1000位以下だったことを考えると全英オープンで6位に入りトップ50入りして最後の最後で今大会の出場権を手に入れたことは「奇跡」と本人はいう。
じつはタイガー、ブリヂストン招待に出られるとは思わず全英オープンの後、子供たちと一緒にスイスでバカンスを楽しむ計画を立てていた。以前のタイガーなら試合出場が決まればバカンスを返上し
て調整を行っていただろう。
だが42歳になった彼は球を打ち込むことより家族との時間を優先させた。ヨーロッパに残りアルプスの景色を満喫しつつ英気を養ったのだ。
「これから試合が続くからね。休息が必要だったんだ」の言葉通り、次週はメジャー最終戦全米プロゴルフ選手権に出場。さらに1週開けてプレーオフシリーズにも参戦する。現在コミットしているのはプレーオフ第1戦と第2戦だがランキング次第では最終戦のツアー選手権への出場もあるだろう。
そのあとは副キャプテンに任命されているライダーカップが控えている。本人は選手としての出場もまだ諦めていない。風雲急を告げるシーズン終盤。タイガーはどんなドラマを魅せてくれるのか?