マネジメントの発明者と言われるピーター・ドラッカーの考え方をベースにした独自の「ゴルフ・マネジメント学習法」を考案、ベストスコア110がわずか半年で80切りに至るまでに上達したドラッカー研究者の飯田利男。飯田は、自分自身を観察・分析することが上達への大きな一歩だという。自身の著書「ゴルフで覚えるドラッカー」から、「観察・分析」についてご紹介。

事実を観察して、現状を正しく把握する

ドラッカーは観察を重視していました。ここでいう観察とは、事実を客観的に見つめることです。

逆に、現状を正しく把握していない、根拠のない推論や虫のいい仮説を軽視していました。現実のビジネスでは、有識者と呼ばれる人たちの見当外れの推論・仮説が皆を大きくミスリードすることは珍しくありません。

事実を客観的に観察したうえで、結果を生み出した原因を追求すること。これが本質を見誤らないための確実な方法です。

ドラッカーの本職は「観察すること」

ドラッカーは、経営コンサルタントとして世界的にその名を知られていました。しかし、彼の主な関心事はビジネスではなく、「人」「社会」でした。実際「マネジメント」は「人」「社会」の一要素であり、ドラッカーの研究領域の一部にすぎません。

彼は自らを“物見の役”として位置づけ、観察し続けることに徹しました。その中で、社会の小さな変化、人の変わらない本質を見極めて、世に伝えていたのです。

アメリカの巨大企業GM(ゼネラルモーターズ)を丹念に取材して、『企業とは何か』という書籍を書き上げ、これが「マネジメント」の礎になりました。つまり「マネジメント」は、ドラッカーが自分の頭の中だけで組み立てた理論ではなく、現実の観察の結果なのです。

「マネジメント」を体系化したドラッカーは、数々の企業トップからコンサルティングの依頼を受け、その期待に応えていました。ではドラッカー自身が一流の経営者なのかといえば、彼はあくまでも経営のコンサルタントです。よく「人に言うなら、自分でやってみろ」といわれますが、「自分自身で上手に実践する能力」と「他者に的確なアドバイスを送る能力」はまったくの別物だといえます。

スポーツにおいても「名選手、名監督にあらず」という言葉が知られているように、恵まれた身体能力や天性のカンによって上手にこなしてしまう人は、「的確なアドバイスを送る能力」を備えていないのかもしれません。

経営者とコンサルタントの関係性は、ゴルフのプレーヤーとコーチの関係性に似ています。優秀なコンサルタントやコーチは、相手のことを本人以上に的確に把握し、指摘するのが仕事です。

しかし、私たちのようなアマチュアゴルファーが専属コーチなど持てるはずもありません。ではどうするか? 「自分自身の優秀な専属コーチ」を目指すのです。

そのためのヒントになるのが、偉大な“物見の役”としてのドラッカーなのです。

うまくいく原因、いかない原因は何か?

ドラッカーは企業をていねいに観察し、組織の仕組みや経営トップの心掛けなど、さまざまな観点からうまくいく原因、うまくいかない原因を探りました。

彼の観察と分析が的確であったことは、数多くの経営者がドラッカーから学び、成果をあげているという現実が物語っています。

言うまでもなくゴルフの練習でも、事実の観察と原因の分析が有効です。このときの観察と分析の対象は、「自分自身」になります。

たとえばショットの調子が悪いときに、イライラしたり、場当たり的な修正をしているようではダメです。自分自身を冷静に観察し、うまくいかなかった原因を探り当てれば、それが大きな前進につながります。

画像: 自分自身を客観的に観察・分析できれば、改善点も見えてくる

自分自身を客観的に観察・分析できれば、改善点も見えてくる

人間は、自分に都合の悪い物事から目を背けたり、必要以上にプラス思考あるいはマイナス思考に陥ったりしがちです。そのため、「いかに客観的なスタンスを貫けるか」が、精度の高い観察・分析を行うポイントになります。

そのために、私が大切にしているのは「書き出すこと」です。自分の内面にある「考え・思い」を外側に出すことで、自分は「こんな時に、こんなことを考える人間なのか」気づくことになります。いい意味で他人事に近い感覚になり、客観的な自己観察・分析がしやすくなります。逆にいうと、自分の内面にあるままでは、自分に都合の良いことだけで判断してしまいがちなため、客観的な観察・分析になりづらいのです。

「ゴルフで覚えるドラッカー」(ゴルフダイジェスト社)より *一部改変

撮影/山田秀隆

GOLF5

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