自分の頭の中のイメージを体に実行させる
練習の効果を高めるためには「集中」が肝心です。いくら的確な目標を設定しても、ショットの瞬間にそれを忘れていたら意味がありません。私の実体験を紹介しましょう。
ある日の練習で、“前傾姿勢の保持”を目標としていたのにもかかわらず、思いがけずにナイスショットが出たことがきっかけになり、いつのまにか“偶然のナイスショットを再現すること”が目標にすり替わってしまったことがありました。そして本来の目標のことを思い出したのは練習が終わった後です。
いくら的確な目標を設定しても、ショットの瞬間にそれを忘れていたら意味がありません。自分の頭の中にある目標のイメージを、その通りに自分の体に実行させるためには、実行直前に強い命令を送る必要があります。これが「言い聞かせワード」です。
アドレスした瞬間に「言い聞かせワード」をつぶやくことで、「目標」への集中力を高めます。逆にいうと、「目標」への集中力を高めるキーワードを、自分自身で設定しておくのです。
自分が理解しやすい“大工の言葉”を使う
「大工と話すときは、大工の言葉を使え」というソクラテスの有名な言葉があります。たとえば初心者が「テークバックはビジネスゾーンを意識する感じで!」と言われても、ピンとこないでしょう。何となく理解したとしても、その通りに体が動かなければ意味がありません。
本や他人からのアドバイスは、自分でかみ砕いてはじめて有効な「言い聞かせワード」になります。
例えば、「腰の力みを抜きたい」ときに、私は「下半身だけ温泉に浸かっている気分」という「言い聞かせワード」を設定しました。他人が聞いても意味をなさない言葉でも、私にとっては有効な言葉であり、力みを抜くエッセンスがその言葉に含まれています。
練習中やラウンド中に「言い聞かせワード」を使う
練習中・ラウンド中は、常に「言い聞かせワード」を頭の中心に置き、アドレスする前に暗唱することを習慣化しましょう。「言い聞かせワード」は、その一言でその日の目標をイメージできる言葉を考えます。
「ゴルフで覚えるドラッカー」(ゴルフダイジェスト社)より
撮影/松岡誠一郎