最近のレッスンのキーワードとして用いられる「地面反力」。ケガから復帰したタイガー・ウッズもスウィングに取り入れ復活優勝を果たしたが、そもそもの話、なぜ地面反力は体にやさしいのだろうか。クォン教授と吉田洋一郎プロの共著「驚異の反力打法~飛ばしたいならバイオメカ」より、「地面反力」のメリットについてご紹介。
「地面反力」は体にやさしい
「地面反力」について聞きかじった人には、その第一印象から、こういった上下方向の力がスウィングの精度を損なうとか、大きな力を受け止めるためにケガをしやすいなどと指摘する人がいますが、いずれも的外れです。
もしゴルフスウィングが地面に対して垂直な軸周りに、水平面上でしか回転しないのであれば(野球のスウィングの様に)上下の動きによるメリットはないかもしれません。しかし、ゴルフスウィングは地面に垂直な軸周りの回転ではありません。
「前後軸」周りの回転も多く含んでいます。そのため、大きな「地面反力」(多くが地面に対して垂直な力)が「前後軸」周りの回転に大きな影響を与えるのです。
また、「地面反力」は体(足)に対して加わるため、体を伝わっていきます。どこかに行ってしまうことはありません。つまり、大きな「地面反力」が加わっていてもいなくても、「筋」は大きな力を発揮しなくてはいけません。
しかし、同じ大きさのヘッドスピードを生み出すことを考えたとき、「地面反力」がないときは、「筋」によってより大きな力を発揮しなくてはなりません。
つまり、大きな「地面反力」が加えられていないと、「筋」にとってはスウィングすることがより大変だということです。詳しい説明は省きますが、大きな「地面反力」が体に働くと、「筋」がより楽な状態でスウィングができるようになるということは覚えておいてください。
「精度を損なう」とか「ケガをしやすい」というような指摘が誤りであることはわかるはずです。余計な先入観は捨てて、ものごとを客観的に見ることが重要です。
「驚異の反力打法~飛ばしたいならバイオメカ」(ゴルフダイジェスト社)より
撮影/姉崎正