打ち下ろしのホールは我々アマチュアゴルファーにとっても比較的打ちやすいが風の強い日は要注意。下り斜面を転がしてグリーン手前まで運んでおくというのは倉本昌弘。自身の著書「本番に強くなるゴルフ」から打ち下ろしホールでの考え方をご紹介。

打ちやすいけれど 風の日には注意する

打ち下ろしのティショットというのは、実戦の中で、最も気持ちよく打てる状況のうちのひとつです。だから、あまり恐れる必要はありません。ただし、打ち下ろしの度合いが強ければ強いほど、ボールが着地するまでに時間がかかる。つまり、ボールの滞空時間が長いため、風の影響を受けやすいので注意しなくてはいけません。

打ち下ろしホールというのは、風さえなければプレッシャーは少ないけれども、風があるとちょっと曲がった球がずっと流されてしまうのです。

打ち下ろしホールでは、自分の目の高さの先に雲や山などの目標を見つけ、そこを狙い、平らなフェアウェイに打っていくような意識でスウィングするといいと思います。

次に、セカンドショットです。打ち下ろしは飛ぶから番手を下げるなどと言いますが、 ロフトの大きなクラブで打った球の飛距離は普段とそれほど変わりません。これはあくまで足元が平らなときの話ですが、たとえば、他の打ち下ろしでサンドウェッジを打つ場合と、同じ10ヤードの打ち下ろしで7番アイアンを打つ場合を比べると、普段の飛距離との誤差はサンドウェッジのほうが少ないのです。

正確な数字ではありませんが、10ヤードの打ち下ろしの場合、7番で150飛ぶ人は140くらい打てば届くだろうけど、同じ位の打ち下ろしをサンドウェッジで打つとしたら、普段80ヤードの人なら75ヤードくらい打たなくてはいけない。ミドルアイアンなどに比べて、ショートアイアンやウェッジのほうが、距離を引く度合いは少なくなるのです。

この度合いは、その人のヘッドスピードや球の高さによって変わってくるので、経験を積みながら自分で計算するようにしてください。 セカンド以降、足元が下り傾斜になっている場合は、いつもよりも球が上がりにくい、スウィングもしづらい、球のコントロールも難しいということを理解してください。

足元の勾配が急なときには無理をせず、グリーンの周りまで持っていけばOKだと考えます。周りに深いバンカーなどがあれば、手前に置いておくのもいいでしょう。

左足下がりではライと状況の見極めが大事です。たとえば、ピンまで残り200ヤード、急な左足下がりの打ち下ろしから高い球でグリーンに止めるのはかなりの技術とパワーがないと難しい。そんなときに無理をしてフェアウェイウッドで高い球を打とうとすれば、チョロして長い距離を残してしまうなどということになりかねません。

画像: 急な打ち下ろしホールなら、 転がしてグリーン近くまで寄せることもできる

急な打ち下ろしホールなら、 転がしてグリーン近くまで寄せることもできる

それならば、アイアンやユーティリティ、ショートウッドを使って低い球で150〜160を打ち、下り斜面を転がしてグリーン手前まで運んでおくのです。そうすれば、寄せワンでパーを取るチャンスも出てくるわけです。

打ち上げ、打ち下ろしが苦手な人でも、急な打ち上げは旗に当てるつもりで打つ、急な打ち下ろしは低い球で転がしていけばグリーン近くまで寄せられるという知識を持っているだけで、かなりスコアは違ってくるはずです。

逆に、もうちょっとレベルの高い人、つまり、下り傾斜からでもグリーンを狙えるようなレベルの人の場合は、打ち下ろしのぶんに加えて、(下り傾斜から打ったときに)球が低くなるぶんだけいつもより飛ぶということを計算して攻める必要があります。

下り傾斜から上手く打てない人の場合は、距離が落ちる可能性が高いけれど、ちゃんと打てる人の場合はロフトが立って当たるため、逆に距離が出てしまうのです。足元が、平らなときには打ち下ろしのぶんだけ飛ぶと考えればいいのですが、足元が下り傾斜のときには、より飛ぶし、転がる可能性があるわけです。

とにかく、その人のレベル、球筋、パワーによって同じ傾斜地でも攻め方は全く変わってきます。いずれにしても、ゴルフというのは自然の中でやるスポーツで、傾斜地は避けて通れないのですから、そういうライや状況を楽しんで、自分なりの対応を確立していくことが大切なのです。

「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より

撮影/岩井基剛

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