78回のうち、実に75回を米国選手が制している
今年で78回目を迎えるペブルビーチ・プロアマはこれまでのほとんどをアメリカ人選手が制しています。外国人選手が勝ったのはわずかに3回。直近では2004年のビジェイ・シン、1993年オーストラリアのブレット・オーグル、1965年同じくオーストラリアのブルース・クランプトン。ヨーロッパの選手はまだ1度も優勝していません。
これはヨーロッパの選手は昔から西海岸の試合にはあまり出ず、マスターズが近づいてきて東海岸に入ってからアメリカにやって来る選手が多かったためでもあります。他の西海岸の試合もヨーロッパ選手の優勝は少ないですが、皆無なのはこの大会だけです。
今週はかなり天気が荒れる予報になっていて、天候的にはヨーロッパの選手の方が慣れてる気候と言ってもいいかもしれません。大会の歴史を塗り替えるかもしれないヨーロッパの選手に注目してみます。
世界ランキング14位のトミー・フリートウッドは今大会初出場になります。昨シーズンからPGAツアーメンバーとしてフル参戦するようになりましたが、全米オープン2位をはじめトップ10入りが6回。1年目からしっかりとツアーチャンピオンシップまで進出し、ライダーカップでの活躍も含めてさすがヨーロッパの年間王者というところを見せました。今年はPGAツアーでの初優勝や初メジャー制覇などが期待されます。
2019年に入ってまず3連覇がかかったアブダビでは42位タイ。ドバイデザートクラシックでは16位タイとまだそれほどエンジンがかかってない印象ですが、今年はスケジュールにペブルビーチを加えるのが本当に楽しみだったと大会前の記者会見でも述べています。ここ2年全米オープンで優勝争いをしていますが、今年の全米オープンのイメージを膨らませながら今週は戦うでしょう(編注:ペブルビーチGLは今年の全米オープン開催コースでもある)。
2年連続4回目の出場になるポール・ケーシー。2001年、2002年と予選落ちし、昨年16年ぶりに出場し8位タイと上位に入りました。PGAツアーは予選落ちしたソニーオープン以来の出場になりますが、ソニーオープンの翌週はシンガポールオープンに出て2位タイに入っています。
昨年はここが2019年最初のアメリカでの試合で、上位に入って勢いをつけて1カ月後のバルスパー選手権優勝へとつながっていきました。今年で42歳になるケーシーもメジャー優勝のない大物プレーヤーのひとりです。残された時間は次第に少なくなってきており、今年にかける意気込みは相当なものであると思われます。
先月約3年半ぶりにヨーロピアンツアーで優勝を果たしたシェーン・ローリー。2015年WGCブリヂストン・インビテーショナルに勝ってPGAツアー入りしましたが、昨年WGC優勝の3年シードも切れ、またヨーロピアンツアーへと戻っていきました。
秋口から調子を取り戻してきて、年が明けるとすぐにアブダビで勝って、翌週のドバイでも12位タイと引き続き好調を持続しています。強風や難しいコンディションのコースを得意としており、今週の天候はローリーにとっては追い風になるのではないでしょうか。
2000年のペブルビーチ・プロアマで優勝したタイガー・ウッズは4カ月後のペブルビーチでの全米オープンで2位に15打差をつけるメジャー史上最多差の圧勝で初めての全米オープンタイトルを手にしました。2010年のペブルビーチ・プロアマを制したダスティン・ジョンソンは4カ月後のペブルビーチでの全米オープンで54ホールを終えて3打のリードを持っていましたが、最終日は82と崩れて初メジャーを逃しました。
今年は誰がペブルビーチ・プロアマを制して、その選手が全米オープンでどういうプレーをするのかという点も注目です。
(写真は2018年の全米プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)