タイガー・ウッズの元コーチで目下世界ランク1位のジャスティン・ローズも師事しているショーン・フォーリー。彼がはじめてキャメロン・チャンプのスウィングを目にしたのは9年前。「そのころからまったく変わっていない」という飛ばし屋のスウィングを本人とコーチが解説した。

「“ワオ!”という言葉しかみつからなかった」

14歳の少年がクラブを一振りした瞬間、辺りの空気が変わった。

「“ワオ!”という言葉しかみつからなかった」とフォーリーはそのときの感動を振り返る。さっそくレッスンを行ったあとコースに出たチャンプは「デビッド・トムズの正確性とダスティン・ジョンソンを上回る飛距離を持ち合わせている」とコーチを驚かせた。

チャンプは昨年ウェブドットコムツアー(下部ツアー)でドライビングディスタンス343.1ヤードをマークし話題になった。しかも名前が“チャンプ”。プロデビューしてすぐに下部ツアーのユタ選手権で優勝したのだから名は体を表す?

今季昇格したPGAツアーでは2戦目のサンダーソンファームズ選手権で後続に4打差をつけ大会最少スコトローク記録(通算21アンダー)で優勝を挙げ、現在フェデックスカップのポイントランクは10位。もちろんドライビングディスタンスも320.5ヤードで部門別ランキング1位をキープしている。

183センチ、79キロと体型に恵まれているものの見た目はスリム。なぜツアー屈指の飛ばし屋なのか一抹の疑問が湧く。その点についてコーチのフォーリーはこう解説する。

画像: フォーリーはジュニア時代からチャンプをコーチしている

フォーリーはジュニア時代からチャンプをコーチしている

「まずテークバックで右ヒザがまったく動いていません。アドレスの(ヒザの)位置と角度をキープしたままクラブを上げることでパワーを溜めているのです。この点はアマチュアも大いに真似していただきたい」

「2つ目のポイントはトップで力みがないこと。クラブを腕で引き下ろそうとグリップをぎゅっと握って上半身に力を込めるアマチュアは多いけれど、チャンプのように力まないトップから下半身のリードででクラブを下ろすことができれば大きなタメが生まれ球を遠くに飛ばすことができるのです」

バックスウィングに関してチャンプは「ゆっくり上げること」をテーマにしているという。その辺は松山英樹と似ている。「その方がプレーンにのせやすいしタイミングがズレにくいからです」(本人)

ダウンスウィングで意識しているのは「ベルトのバックルをできるだけ素早くターゲットに向けること。腕や上半身のことはまったく考えません。下半身を素早く回すことで球を弾き飛ばすことができるのです」(チャンプ)

ジョン・デイリーのようなオーバースウィングではない。ダスティン・ジョンソンのようなシャットフェースでもない。オーソドックスなスタイルで飛ばすだけでなく正確性も兼ね備えている彼に人は羨望の眼差しを向ける。

ムチのようにしなる肉体に秘密があるとすればそれは出生に関係があるのかもしれない。祖父はアメリカ南部で育ち差別を体験した黒人。祖父と白人の祖母の間に生まれたのが父でチャンプには黒人の血が流れている。

画像: チャンプのツイッターに白黒の靴を履いた写真とともに「ブラック・ヒストリー・マンスのはじまり。自分が自分であること、自分の出生を誇りに思います」というつぶやきが添えられている(写真はキャメロン・チャンプのツイッター画面キャプチャ)

チャンプのツイッターに白黒の靴を履いた写真とともに「ブラック・ヒストリー・マンスのはじまり。自分が自分であること、自分の出生を誇りに思います」というつぶやきが添えられている(写真はキャメロン・チャンプのツイッター画面キャプチャ)

奇しくも2月はブラック・ヒストリー・マンス=黒人歴史月間。ウェイストマネジメントフェニックスオープン2日目、チャンプは左右色違い(左足が白、右足が黒)のシューズを履いて登場した。 自らのバックグランドに対する誇りを23歳の青年は軽やかに表現して見せたのだ。

「重要なのはどんな生い立ちかではなく、これからどんな人生を歩むか」という祖父の口癖を胸にチャンプは真のチャンピオンを目指し前を向く。

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