クラブの性能は年々進化し続けている。しかしそれに伴い販売価格も値上がりしている傾向にある。これは一体なぜなのか? ゴルフトレンドウォッチャーの児山和弘が解説する。

10年前に比べれば「高い」が、性能を考えればむしろ「安い」!?

年明けからキャロウェイを皮切りに、テーラーメイド、ピンと海外メーカーの新製品が発表された。今年はこの三社に人気が集中しそうな気配だ。多くのゴルファーが試打結果やスペックなどを見ながら、関心を寄せている。

そうした性能と同時に、筆者が気になっているのが価格だ。というのも、このところ、とくに海外メーカーにおいて、ドライバーの販売価格が値上がりする傾向が顕著に見られるからだ。

テーラーメイドを例にとると、10年前に発売された「R9」ドライバーは、定価が6万円だった。2013年の「SLDR」は6万5000円だ。ところが、2015年の初代「M1」ドライバーは、7万2000円と高額になり、今年の新製品「M5」 は7万8000円とさらに値上がりした(すべて税抜き価格)。

画像: G410は6万9000円、M5は7万8000円と、それぞれ前モデル比値上げ。もちろん、その分だけ設計は複雑化し、テクノロジーを進化させている(撮影/野村知也)

G410は6万9000円、M5は7万8000円と、それぞれ前モデル比値上げ。もちろん、その分だけ設計は複雑化し、テクノロジーを進化させている(撮影/野村知也)

「M5」と「M6」は、新たに「スピードインジェクション」というテクノロジーが採用された。これは最初にルール適合外のヘッドを製造し、ヘッド内部にレジン素材を注入することでルールの限界値にチューニングするというもので、すべてのヘッドで反発係数の計測を2回行っている。有識者の間では、製造にこれだけの手間をかけて、この値段はむしろ安いという声もある。

ピンは、「G20」(2011年発売)や「G25」(2013年)の頃は、驚くことに実売価格が4万円を切っていた。当時は円高だったため、グローバル価格で販売していたピンはかなり割安感があった。「G30」(2015年)では5万6000円になり、今年の新製品、『G410 』の定価は6万9000円まで上がった。

この二社は、日本のメーカーと比べて販売価格が安く、いわば価格の優等生として人気を拡大してきたが、ここへきてじわじわと値段が上がっており、国内メーカーやもともとそれと同程度だったキャロウェイと、大きな価格差はなくなりつつある。

これだけドライバーの価格が高騰している理由は、ヘッドの構造が複雑化したことだ。かつてはチタン製のボディとフェースを溶接した2ピース構造が主流だった。しかし、現在は、カーボンクラウンやタングステンの可動式ウェイトに加え、ヘッドを構成するパーツが非常に増えている。

さらに前述の「スピードインジェクション」やキャロウェイの“2本の柱”、「ジェイルブレイクテクノロジー」など、複雑化に拍車がかかっている。高機能を実現するために、より製造コストがかかる構造を採用しているのだ。

画像: ゼクシオは「ナイン」で8万8000円まで値上がりしたものの「テン」では8万円に戻している(撮影/三木崇徳)

ゼクシオは「ナイン」で8万8000円まで値上がりしたものの「テン」では8万円に戻している(撮影/三木崇徳)

ユーザーは価格には敏感だ。かつてヒット作となったタイトリストのドライバー、「915D」は定価6万円だったところ、次作の「917D」は7万5000円に値上がりしたこともあり、販売面で苦戦を強いられた。「ゼクシオ」でも、一度「ナイン」で8万8000円に値上がりしたものの、「テン」では定価を以前の8万円に戻している。言うまでもないことだが、機能やブランドだけでなく、価格も購入の重要な判断材料になるのだ。

この値上がり傾向は、ドライバーを数年は買い換えないゴルファーと、高額でも新しいクラブを積極的に購入するゴルファーとの二極化が進んでいることも一因だろう。メーカーは、クラブに関心の高いコアユーザーの心をいかに掴むかを競っているのだ。そのためにはある程度の価格の上昇はやむを得ないと考えているのだろう。このドライバーの値上がりが、どう人気に影響を及ぼすのか、今後も注目してみたい。

HONMA

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