右手が下にくるクセを「フラットキャット」で矯正している
イングランド出身の24歳、マシュー・フィッツパトリックは欧州ツアー5勝の実力者です。世界ランキングも先日のPGAツアー「アーノルド・パーマー招待」の単独2位もあり、現在は34位と上昇してきています。
パーマー招待では最終日最終組でプレーするということで、練習場でウォームアップする様子を観察していたのですが、ある事実に気がつきました。以下は私のひとり言です。
「ふむふむ、噂には聞いていたけど、まだだいぶ前のTaylor Madeドライバーを使っているんだ。あれば2016年の M2だ……。あれ? グリップが白い……それに太そうだ。えっ、それって平らな部分があるパターグリップじゃない?」
そうなんです。パターグリップ(ラムキンのフラットキャット)を装着しているんです。 それも真っすぐというか真横ではなく、斜めに装着されていました。
ゴルフのルールでパター以外のクラブは「グリップの横断面が円形でなければならない」と限定されているのでこれはルール違反クラブ。ですので、あくまでも練習場限定で、練習機具として使っていました。 そして、数球打った後にはエースドライバー(テーラーメイド M2 2017年モデル)を打っていました。
パーマー招待の翌週、「ザ・プレーヤーズ選手権」の会場でフィッツパトリックに練習用のドライバーの件を尋ねてみました。
「あのドライバーは2年ぐらい使っています。 ピート・コーウェンコーチの発案というか勧めで使い始めました。 私は右手が下側に入ってしまう癖があるのでこのグリップでドライバーショットを打つと矯正イメージが感じられるのです。そのため、朝のウォームアップには必ず数球打つようにしています。 キャディにはスタート前にロッカールームにこのクラブを入れてもらわなければいけないのでちょっと面倒なんですが……」と説明してくれました。
長年ヘンリク・ステンソンやグラエム・マクドウェルなど多くのメジャーチャンピオンを指導するピート・コーウェン氏は「右手がインパクト前に下側に入ってしまうと返って『フリップ』してしまう。右手親指の付け根の所にプレッシャーを感じながら押し込むイメージだと強い球が打てる、あのグリップはそのためのドリルができるドライバーなんです」と詳しく説明してくれました。
練習機具としてしか使えませんが、このように平面があるパターグリップを通常のクラブに装着し、たとえば握り方の矯正をしたり、手首の使い方を抑えたりするのは一般ゴルファーにも効果がありそうですね。
現在はコーウェン氏に加えて同じ理論のマイク・ウォーカー氏からも現場でチェックをしてもらうというフィッツパトリック。 今シーズンはPGAツアー正式メンバー昇格を目標に参戦していて現時点でフェデックスカップポイントは339点まで上がってきました。 昨年はシード圏内の125位が377点だったので、もう一息です。
「ハロウィンでキャンディーをもらえる外見」と解説のポール・エイジンガーにつつかれるようなベイビーフェースですが、しっかりとした自分のゴルフを確立している選手です、是非名前を覚えておいて下さい。