同伴者のスコアやプレースタイルを意識して、スコアを崩してしまったという経験は誰にもあるだろう。ツアー30勝の永久シードプレーヤー・倉本昌弘の著書「本番に強くなるゴルフ」から自分のプレーをつらぬくための思考術を紹介。

他人のプレーを意識しても意味がない

一緒に回っている人のスコアがいいから、飛ばし屋だから、逆に、下手だから、叩いているからスコアを崩してしまったのだ。などと言い訳をする人がいますが、それは他人を見て、自分のプレーに集中できていない証拠です。

けれども、他人のプレ ーを気にしたり、他人と比較したりすることはあまり意味がない。なぜなら、他人の行動など自分ではどうすることもできないからです。さらに、周りから見たら、羨ましいなぁ、幸せなんだろうなぁという人が、本当は心の中で不幸だったりすることもある。

同じように、自信に溢れるショットをしているように見える人が、心の中でミスを恐れてビクビクしながら打っているなんてことはいくらでもあるのです。

画像: リードしている試合でも1打1打集中することで逃げ切ることができたという(撮影/岩井基剛)

リードしている試合でも1打1打集中することで逃げ切ることができたという(撮影/岩井基剛)

とはいえ、他人のプレーや他人の目が、どうしても気になるという人もいるでしょう。だからこそ、女神と対話して自分のプレーに集中するのです。私は、昔から「流れを読むのが上手い」と言われました。リードしている試合はほとんど負けなかったからです。でも、自分で流れを読むのが上手いなどと思ったことはありません。決して、流れを読んで流れをつかもうとしてつかんだわけではないからです。

逃げ切るというのは、非常に難しいことです。追いかけるよりもずっと難しい。では、そのときどうしていたのかというと、目の前の1打1打をクリアにして、相手をあんまり見なかっただけなのです。

このホールでしっかりパーを取るためにはどうすればいいのか。ティショットをどこに運んで、セカンドをどこに乗せるかというプランを、1打1打確実に実行しようとしただけです。トップを行っている者が誰にも影響されないで護実にそれを実行すると、追いかけるほうは焦る。だから逃げ切れたのです。

画像: タイガーはトップにいるほど強いが、それは追いかける側の「焦り」も影響しているのかも(写真は2019年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

タイガーはトップにいるほど強いが、それは追いかける側の「焦り」も影響しているのかも(写真は2019年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

もちろん、それができずに落とした試合というのもあります。勝ち急いだり、先を見たり、相手に合わせようとして。相手に合わせようとすると、相手がバーディ取ったら自分も取らなくちゃいけなくなる。イーグルを取られたら、2つもバーディが必要だと思う。そんなものはいつ来るかわからないのに。未来も相手も自分ではコントロールできない。そんな自分でコントロールできないものに囚われてはいけないのです。

しかし、逆に言うと、相手も自分のことをコントロールできないのです。だからこそ務実にプレーする。それが流れをつかむとともに、結果的に相手にプレッシャーをかけることになるのです。たとえば、最終日にタイガー・ウッズがリードしていると、追いかけるほうがバタバタとスコアを崩したりする。

追いかけるほうは、「タイガーは2打リードしている。きっとパー5で2つはバーディを取ってくるだろうから、自分は最低でも4つ伸ばさなくちゃいけない」などと予想する。そうすると流れが悪くなってスコアを崩す。

終わってみたら、タイガーはパープレーで、そんなに無理をすることはなかったということも多い。このように、自分でコントロールできないものに囚われてはいけません。そこに気づくことはとても大切なことなのです。

「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より

画像: ザックリしない!最も簡単なアプローチの打ち方 ~HARADAGOLFで上手くなる~ youtu.be

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