モリナリ、ケプカ、フィナウがダボを叩いた
タイガー・ウッズが鮮やかな逆転で5度目の栄冠を手にした今年のマスタ-ズでしたが、ドラマが生まれ明暗を分けたのはアーメンコーナーの12番でした。
スコアーカード上では155ヤードのパー3。 「世界で最も難しい距離の短いパー3」と呼ばれるホール、最終日のホールロケーションは左手前のエッジから21歩。 右のエッジから3歩というチャンピオンシップサンデー伝統の右奥の位置でした。
結果は(ゴルフファンでしたらもうご存じだと思いますが) タイガー・ウッズはワンオン2パットのパーで切り抜けたのに対し、トーナメントリーダーだったフランチェスコ・モリナリが池につかまりダブルボギー。
モリナリ以外にも、他にも優勝争いに絡んでいたトニー・フィナウ、ブルックス・ケプカ、そしてイアン・ポールターも同じくグリーン手前を斜めに横切るレイズクリークにボールを沈め、ダブルボギーとしてスコアを崩してしまいました。
3日目の12番ホールではダブルボギー以上のスコアは1人のみで平均ストロークは「2.92」とアンダーパー。 最終日は9人がダブルボギー以上(1人がトリプルボギー)で平均スコアーは「3.34」と最終日最難関ホールとなっていました。
最終日のピンまでの距離は158ヤード。まず、11番を終えて通算13アンダーだったモリナリは8番アイアンを選択しています。
「軽めに8番アイアンを打とうと考えていました。距離的には9番アイアンでしたが、向かい風が強くなるといけないと考え、8番を選びました。もう少し強く打つべきでした。 もう1ヤード左だったらバンカーに入り状況は変わっていたでしょう。 今日は私の日ではなかったのでしょう」と冷静に振り返っていました。
最終組の前組を回っていたケプカは11アンダーから9アンダーと後退。
「12番は誤ったクラブ選択でもなく、打った感触だとミスショットだという感じでもありませんでした。使ったのは9番アイアン。 狙った所よりも若干右に行ってしまったかもしれません。(グリーン後ろの)木よりも高い位置に飛んでしまうと方向が変わりやすい風の影響を受けます。 私の球は風の影響で(向かい風に乗り)浮いてしまったようでした」とケプカらしい自信みなぎる表情は変えずにコメントを残していました。
先に打ったモリナリが池にボールを落としたのを見た後に池に落としたフィナウが選択したのは9番アイアン。
「(優勝への)ドアが開きチャンスでした。若干ダフってしまいました。 狙った方向は良かったです。 私は(通常)9番アイアンで165ヤード打ちます。少し軽めのフェードだとピッタリだと思いました。 160ヤード打つつもりでした。 8番アイアンだと(通常)175ヤードなので短く持ってスライス球が要求されます。 風はアゲンストの向かい風だったので難しかったですね。」と残念がっていました。
タイガー・ウッズはグリーンセンター狙いの安全ルートを選択。使ったのは9番アイアン(注:タイ
ガーのアイアンは他の選手よりロフトが寝ていて45度、他の選手は42度か43度)でした。
試合後の記者会見で12番ホールのプレーを詳しく説明していました。
「私の狙いは手前のバンカーの左のベロを越えた所、そこは147ヤード。ですから私は(その狙いのラインで)150ヤード打つ事だけを考えていました。 前の組を回っていたポールターやケプカが池につかまったことは知っていました。 私が(12番の)ティに立ったときには向かい風を感じました。 ピン狙いをせずに左サイドを狙うことに徹しました。 狙うポイントは手前のバンカーの左サイド。 残りの(2つの)パー5でスコアを伸ばせば良いので、ここは守りのホールだと考えていました」
長年の経験から、12番ではしっかり守りに徹することで、14年振りの優勝につなげたタイガー。 今年は過去にメジャー優勝の経験があるベスページ・ブラックでの全米プロとペブルビーチGLでの全米オープンが控えているだけに、今後タイガーにますます期待がかかるでしょう。
(画像はマスターズ公式サイト https://www.masters.com より)