マスターズ優勝で注目が集まるタイガーの使用クラブ。エースパターのスコッティキャメロンを除いては、すべて契約先のテーラーメイドの最新モデルを使用している中、1本だけ「旧モデル」が混ざっている。一体なんで?
M5になり“飛んで曲がらなくなった”が……
タイガー・ウッズのバッグに入れられたウッドは3本。まずドライバーはテーラーメイドの最新モデルであるM5。3番ウッドも同じくM5だが、5番ウッドだけが前モデルのM3となっている。なぜか。プロゴルファーでクラブフィッターの関雅史はこう分析する。
「フェアウェイウッド に関して言うと、M3からM5になって大きく変化したことがあります。それはボディの素材がステンレスからチタンへになったこと。そして、ドライバーに搭載されていた左右への曲がりを抑える“ツイストフェース ”がフェアウェイウッド にも搭載されたことです」
チタンになってツイストフェースになった。端的に言えば“飛んで曲がりにくくなった”わけで、アマチュアゴルファーにとっては大歓迎だが、タイガー・ウッズにとってはそうではないのかもしれないと関は言う。
「おそらく、タイガーにとって3番ウッドは飛んだほうがメリットを感じられるクラブであり、5番ウッドはそうではないのではないでしょうか。ステンレスのほうが球持ちが良く、コントロールしやすいですし、マッスルバックの3番アイアンとのつながりもいい。もちろんテストを重ねればM5の5番ウッドも使うと思いますが、距離感重視で挑みたいマスターズには間に合わなかったのかもしれませんね」
タイガーにとって飛ばすクラブはドライバーと3番ウッドの2本だけ。5番ウッド以下の11本のクラブは、すべてコントロールするためのクラブなのかもしれない。タイガー・ウッズのクラブ、そこにはタイガーのゲーム戦略が如実に反映されている。
撮影/有原裕晶