過去4つの大会ではいずれもドローの名手が勝利
101回目を迎える全米プロゴルフ選手権は70年ぶりに5月開催に戻りました。5月開催になったことで、以前の8月開催よりも注目度が高くなった感じもあるし、サンダーストームの可能性が少なくなり、コースのメンテナンスも楽になり、多くの選手・関係者が5月への移動を歓迎しています。
会場となるベスページ・ブラックコースは超がつくタフなコース。7468Yのパー70で、決してフェアウェイは広いわけではなく、ラフは非常に密度が濃く、コース攻略のポイントはフェアウェイキープであると多くのトップ選手が会見で言っています。
多くのグリーンは砲台のように上がっていて、周りがバンカーにガードされていて、花道がなく、キャリーボールが必要とされるホールが多いのも特徴です。
USオープンとザ・バークレイズで2度ずつこのコースが使用されていますが、勝者はタイガー・ウッズ、ルーカス・グラバー、ニック・ワトニー、パトリック・リードとドローを操るのが上手い選手ばかりです。ドローヒッター向きのコースだと推測されますが、今のところ選手の会見等では持ち球よりもフェアウェイを捉えることがまず大事だという話が多く聞かれます。
2002年ベスページでのUSオープンを制したタイガー・ウッズを優勝候補に挙げたいと思います。優勝すればPGAツアー82勝目となり、サム・スニードの最多記録に並びます。コースはとても長く、
キャリーが必要なコースということで、最初は今や距離で他を圧倒しないウッズは優勝候補ではないと考えていました。
ところが大会前の各選手の記者会見を聞くと、距離よりも正確性が大事だという意見が多く、今季トータルドライビング13位と上位につけているウッズが俄然良く見えてきました。今週マキロイが来年の東京オリンピック出場を匂わせるコメントをしました。
ウッズもオリンピックには出場したいが、まずはアメリカ代表になることが難しいと言っていますが、今週勝つと世界ランキング1位になる可能性もあり、オリンピックが本当に現実的になってきます。かなり願望と応援が入ってますが、タイガー・ウッズのメジャー連勝なるか注目です。
ストップ・ザ・タイガーを果たすのはイングランド勢!?
対抗としてトミー・フリートウッドを挙げます。先週は欧州ツアーのブリティッシュ・マスターズで初めてホストを務めました。最終日上がり7ホールで3つのボギーを打ち、優勝争いからは脱落しましたが、ホストという大役は務め上げて無事大会を終えました。
時差もありハードスケジュールにはなりますが、ホスト役を成功させ、肩の荷が下りたことがフリートウッド自身のプレーに良い影響を与えるのではないかという気がします。トータルドライビングは今季は17位、昨年は2位でした。欧州ツアー時代からドライバーの上手さは定評がありますし、5月開催になってまるで欧州ツアーのような気温になることも追い風に働くのではないかと思います。
穴として挙げたいのがイアン・ポールター。43歳のベテランですが、30代の頃より飛距離は伸び、
グリーン周りやパッティングはまったく衰えることがなく、今季は1度も予選落ちがありません。
安定度が年を重ねて更に増している印象です。ベスページで行われた2012年のザ・バークレイズでは36位タイ。2009年のUSオープンでは18位タイとまずまずの成績を残しています。現在フェアウェイキープ率24位、パーオン率11位といずれもトップクラス。マスターズで12位タイに入り、来年の出場権をすでに獲得しています。
その後のヘリテージ、チューリッヒ・クラシックと連続トップ10入りして今週を迎えています。初メジャー制覇のチャンスが43歳になった今年が1番あるように感じます。