今年から開催月が8月から5月に変更され、マスターズの興奮いまだ冷めやらぬまま開幕を迎えた全米プロ。その“本命候補”をレックス倉本、中井学の二人のプロゴルファーに聞いた。

タイガー・ウッズのメジャー2連勝について「厳しいと思います」というのは米国在住でアメリカのゴルフに精通するプロゴルファー・レックス倉本。

「試合の前日の水曜日に少し短くしたとはいえ、基本的には長めのラフの設定。全米オープン的なセッティングになっています。タイガーは2002年にこのコースでの全米オープンで勝った実績がありますが、そのときは誰よりもティショットにアドバンテージがあり、ラフからも打てるフィジカルがありました。総合力では2002年より上とも言える今のタイガーですが、今回は厳しいのではないでしょうか」(倉本)

画像: マスターズで復活優勝を遂げたタイガー。「全米プロ」ではどのようなプレーを魅せてくれるか(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

マスターズで復活優勝を遂げたタイガー。「全米プロ」ではどのようなプレーを魅せてくれるか(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

もちろん活躍しないというわけではなく、優勝争いにも絡んでくるものの、優勝候補を一人挙げろと言われたら別の選手の名前を挙げると倉本は言う。米国留学経験があり海外ツアーウォッチャーとしても知られるプロゴルファー・中井学も同様の見解だ。

画像: 倉本と中井が優勝候補に挙げたのはロングゲームに抜群の強みを持つロリー・マキロイ。メジャー5勝目となるか(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

倉本と中井が優勝候補に挙げたのはロングゲームに抜群の強みを持つロリー・マキロイ。メジャー5勝目となるか(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

「マスターズでの勝利は、コースを知り尽くしたマネジメントの勝利。オーガスタだからこその勝ち方でした。マスターズではタイガーを願望込みで優勝候補に挙げましたが、今回の全米プロに限っては別の選手を本命に推します」(中井)

いずれも“一人を選べと言われたらタイガーではない”という点で一致した倉本と中井が、揃って優勝候補に挙げたのが、ロリー・マキロイだ。

「飛距離が出て、ラフからも打てるパワーのある選手というと、必然的に限られますよね。ロリー(・マキロイ)、ダスティン・ジョンソン、ブルックス・ケプカ、ジョン・ラーム……。あとは大穴と言っては失礼だけど、リッキー・ファウラーにポール・ケーシーといったところが候補ではないでしょうか」(倉本)

「マキロイは距離が出て、長い距離を正確に打つことのできる選手。パッティングの安定感にやや欠ける点が懸念されますが、本命と言えるのではないでしょうか。また、どちらかというとドローヒッターと相性がいいという話も耳にしましたが、それならばクラブがドローを打ちやすいキャロウェイ契約の選手、具体的にはフランチェスコ・モリナリやザンダー・シャウフェレにもチャンスがあるかもしれません」(中井)

また、中井は全米プロにはしばしば伏兵的チャンピオンが生まれる傾向があるとし、ズバリ松山英樹の名前を挙げた。

画像: 松山英樹は初のメジャー制覇となるか(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

松山英樹は初のメジャー制覇となるか(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

「正直、全米プロは4つのメジャーの中でこと日本での注目度という意味では一番低い試合。そのことで、いくらか気楽にプレーすることができれば、勝つチャンスは十分にあると思います」(中井)

日本中が期待するマスターズや全英オープンではなく、案外全米プロで松山選手のメジャー初優勝が見られるのか。あるいは専門家が推すマキロイが久しぶりのメジャー制覇を見せるのか。はたまたタイガーが再びミラクルを見せてくれるのか。

考えるだけでワクワクしてくるメジャー第二戦は、もうスタートのときを迎えている。

画像: 東大ゴルフ部式!統計で練習効率を上げる~井上透と幡野夏生のこれってどうしてる?#9~ youtu.be

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