中京テレビ・ブリヂストンレディスでの平均飛距離は266.750ヤードで全体の2位。シーズンの平均飛距離も255.51ヤードとし、穴井詩に次ぐ2位にランクする松田鈴英。テレビ中継に映るホールでも、他のプロを圧するほどの距離を出し、見ているものの度肝を抜いた。
一体なぜこんなに飛ぶのか? 松田を指導する黒宮幹仁コーチは言う。
「この試合の直前にドライバーを変えたんですが、彼女はもともとティアップが低いこともあり、右に滑るような球が出ていました。そこで、ティアップを頑張って高くして、早めに目線を切って左上に振り抜くようなイメージで振ってもらったんです。ある程度予想はしていましたが、その結果えげつない飛びが出始めたんです」(黒宮、以下同)
松田のここまでのエースは契約先であるブリヂストンのJ815ドライバー。そのフェースが割れてしまい、急遽「ツアーB JGR」の未発表のニューモデルを投入。最新の低スピンドライバーに合わせる形でスウィングを微調整したことが噛み合い、圧倒的飛距離につながったのだと言う。
松田のスウィングは、テークバックは高い位置に上がるものの、ダウンスウィングの軌道はシャロー(浅い)。それに高いティアップ、低スピンヘッドが組み合わさったことで、低スピン弾道となり、ランが倍近く出るようになったという。
「今年からトレーニングも多めにしていますし、もともとの身体能力も高い」ことが最大の要因だと黒宮はいうが、そこにアクシデントやらクラブ変更やらスウィングの微調整やらが加わり、化学変化的飛距離アップが起きたというのが事の真相のようだ。
最終日最終組を複数回経験し、優勝に値する実力があるのは誰もが認めるところ。鬼に金棒的な飛距離が加わったことで、松田鈴英はこれからもっと強くなるのかもしれない。