パターを替えたら、次のラウンドで面白いように入り「ついに運命のパターと出会った!」と思うものの、しばらく使ううち、いつものパット数に逆戻り。俗に“新車効果”などと呼ばれる不思議な作用を体験したことは、アマチュアゴルファーでも少なくないはず。
もちろんプロとアマではレベルが違うが、池田はL字型の「ジャンボ尾崎90勝記念モデル」を数週間前から使用。原は、師匠である尾崎将司の助言でオデッセイの「EXOロッシー」を5月からバッグに入れている。どちらも“ジャンボ絡み”かつ、替えて数週間で優勝というのが共通点だ。
不思議な偶然のようにも思えるが、どうなのか。パッティングの専門家として知られるプロゴルファー・大本研太郎に聞いてみた。
「原英莉花プロはEXOロッシーに“ストロークラボ”のシャフトを差していました。ストロークラボのシャフトは、手元が安定して動いたり、軌道が出しやすくなるんです。そのように、なにか新しいイメージが出ると、別のなにかの(苦手な)意識が消える。だから、替えた瞬間良かったりするんです」(大本)
大本によれば、パターを頻繁に変えることで知られる片山晋呉が特徴的な例で、「なにかを変えれば、その特性に一時的に意識が向き、悩みがなくなる」と言う。いわば“新車効果”を戦略の中に組み込んでいるということのようだ。
「おそらく、(ジャンボが)ずっと見てきて、原プロの感覚にはこれが合うだろうと見立てたんだろうと思います。こっちのほうがフィーリングよく打てるぞ、と」(大本)
原の優勝は、ジャンボの見立てによる“新車効果”が上手くハマった例と言えそうだ。また、新車効果とは別に、ショットとパットの相性もあるようだ。
「池田プロの場合、ショットとパットの感覚のつながりが理想的でした。私は、ドライバーもパターも同じ感覚というふうに検証していますが、優勝した試合ではすべてが同じイメージで打てているように見えました。ピンタイプやL字タイプは、感性を崩さないという意味では究極に近い形状と言えます」
L字というとどこか“過去のもの”という印象があるが、ショットとのつながりを考えれば、理想的形状とも言えるのだとか。アダム・スコットのようにパターだけかけ離れたものを使うのはむしろ「天才型」なのだという。
大本は、最後に「アベレージゴルファーの方は基本的にクラブを真っすぐ動かそうとしているので、基本的にはマレット型が合います」とアドバイスしてくれた。
感覚が変わればいいので、“昔使っていたパターを引っ張り出して使う”でも問題なさそう。次のラウンドは、原や池田にあやかって“新車効果”を試してみては?