2018年にレギュラーツアーに29試合参戦したものの、予選通過はわずかに7試合。年末の予選会も63位とふるわなかった宮田成華選手。その資格で出られるのは2試合ほどだそうで、あとは推薦出場か、マンデー(週のはじめに開催される予選会)を突破するかという厳しい状況ながら、ここまで4試合に出場し、そのすべてで予選を突破しています。
ヨネックスレディス開幕前時点での獲得賞金額は約216万円。6月末に行われ、それ以降の試合に出られるかどうかが決まる1回目の「リランキング」までに、少しでも賞金を積み上げておきたいところでしょう。そのためになにが必要か、どんな意識を持っているかを本人に聞くと「逃げないゴルフをしたいです」という答えが返ってきました。
「昨年は逃げて痛い目に何度もあったので、逃げてミスするなら逃げずに向かっていきたいんです」との言葉の通り、昨年のルーキーイヤーはツアーに出場するうちに、いわゆる“置きにいく”ようなスウィングになってしまい、結果的に振れなくなってしまったのだそうです。
「ツアーでは、置きにいくゴルフでは通用しません。昨年末にキャディさんのアドバイスもあってしっかり振るようにしたら良くなってきて、今は8番で150から155ヤードくらい。ドライバーの飛距離は240ヤードくらいです」(宮田)
実際、19位タイと今季最高順位で終えたリゾートトラストレディスでは、平均238.333ヤード飛ばしていますから、「持ち味はドライバーの飛距離です」という言葉も納得です。
では、宮田選手の240ヤードスウィングを見ていきましょう。まずは画像A。飛距離を武器にすると言うだけあってテークバックはワイドに、つまり手が体から離れるように上がっています。バックスウィングには力みがなく、高い柔軟性もあいまって上半身が深くねじられ、しっかりとエネルギーが蓄えられています。
注目したいのは深いトップからの切り返しです。画像Bの二つの画像を比べて見ると、クラブの位置はほとんど変わりませんが、下半身の形は切り返され、右の写真では腰がほぼ正面を向いています。
この一瞬の“間”で、胸椎を境にしっかりと上半身と下半身を分離できています。切り返しで上半身が一瞬遅れるこの“間”が飛距離を生みますし、ナイスショットを生むタイミングの良さにもつながります。
風やホールの難易度などの要因から、「置きにいく」意識が生まれたり、テンポが速くなるとこの一瞬の“間”が取れなくなり、飛ばないばかりかミスショットの原因になります。
この“間”を見る限り、本人のコメント通りボールを置きにいかずにしっかりと振り切るスウィング、飛距離を出しながらフェアウェイをとらえるスウィングができているようです。
自分の弱さと向き合い、弱さに負けず、攻めるゴルフをしたいと語る宮田選手は、昨年の悔しい経験を糧にして、確実に成長の時を迎えているようです。黄金世代のひとつ上とはいえ、まだまだ若い21歳。みなさんもぜひ、注目してみてくださいね。
撮影/姉崎正