「この大事な場面でミスしたらどうしよう」「私は大事な場面で弱い」と思い込んでいることでパフォーマンスにブレーキをかけていることもある。スコアアップするための考え方をプロも教えるメンタルコーチ池努に教えてもらおう。

「雨が降っている」は事実。「俺は雨男だ」は“思い込み”

今回のテーマは私たちのマインドにある「思い込み」に焦点を当てていきます。実は自分の中にある思い込みがゴルフのパフォーマンスを制限していたとしたら……。その思い込みを見直すだけでスコアアップにつながることもありますので、自分事として今回の記事を読んで頂ければ幸いです。

私たちにはたくさんの思い込みがあります。思い込みとは「自分がそうだと信じていること」を指します。信じていることなので“事実”ではないのです。たとえば、外に出ると雨が降っているとします。それは当然事実です。思い込みとは自分が外に出たら雨が降ってきたとして、そのときに「私は雨男(雨女)だ」と思うこと。これは思い込みですよね。

他にも「私は大事な場面でミスをする」これは多くのゴルファーが抱えている思い込みです。たとかに自分で大事だと認識するプレーを100発100中ミスすればそれは真実かもしれませんが、10回中5回のミスであれば「私は大事な場面に強い」と思うことも「私は大事な場面に弱い」と思うことも可能です。ということは多くのゴルファーは自分が「大事な場面に弱い」と思い込んでいるのです。

そして、重要なのがこの思い込みがゴルファーのパフォーマンスにかなりのブレーキをかけている場合があることです。

どのようにブレーキをかけるかというと以下のようなイメージです。

プロゴルファーの試合でたとえると予選最終日で残りは1ホールのみ。スコアは予選を通るかどうかのギリギリのラインでバーディをとれば予選通過が決まる。そして、1メートルのバーディパットのチャンスという大事な場面が来た。

そんなときに「私は大事な場面に弱い」という思い込みがちらつき、「この大事な場面でまたミスをしたらどうしよう」や「また前の試合みたいに失敗しないようにしないと」と思い、頭の中は成功イメージより、失敗イメージで埋め尽くされてしまう。

そのような思考がプレッシャーにつながり、呼吸は浅くなり、肩や腕の筋肉は硬直し、スムーズなストロークがしにくくなる。当然、良いパッティングはできない。

画像: 「大事な場面で弱い」と失敗のイメージがプレッシャーに繋がっているかも。(撮影/三木崇徳)

「大事な場面で弱い」と失敗のイメージがプレッシャーに繋がっているかも。(撮影/三木崇徳)

このように「大事な場面に弱い」というような思い込みはゴルフのパフォーマンスを下げてしまうのです。

では、どうすればそのような思い込みを解くことができるのでしょうか?次の3ステップの流れで思い込みを書き換えていくことがおすすめです。

【1】ブレーキになっている思い込みに気づく
【2】思い込みを疑い、事実ではないと気づく
【3】ニュートラルに客観的にとらえ、言葉をかえる

それぞれ見ていきましょう。

【1】でまずはブレーキにとなる思い込みに気づいていきます。自分は「大事な場面に弱い」と思っているんだ。【2】それって事実かな? 思い込みかな? 人によってとらえ方が違うから「思い込み」だな。【3】実際はラウンドの大事な場面で10回中6回くらいミスして、4割を成功していると考えると「大事な場面に強くも弱くもない」って感じかな。

このように思い込みは事実ではないので観方によっては変えられるのです。実際にプロゴルファーには上記のような流れで思い込みを書き換えていくことで結果をガラッと変えていく選手も多数います。

ただ、今回の記事を読んだだけではそもそも自分にどんな思い込みがあるかに気づくことは簡単ではないかと思いますので、次回は、ゴルファーに多くある思い込みを紹介しながら、その思い込みを見直していくような機会にしてほしいと思います。今回の記事ではまずは思い込みがゴルファーのパフォーマンスにブレーキをかけているということを理解してもらえれば幸いです。

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