練習場で身に付けたいのは、コースで“使える球”
気候が良くなってきたこともあり、練習場に行くと多くのゴルファーが熱心にボールを打つ姿が見られます。東京近郊の人気練習場だと1時間待ちも珍しくありません。
ただ、同時にゴルフ場では「練習は一生懸命してるんだけど、全然上達しないんだよね」という声もよく聞きます。なぜでしょうか? 私は練習することでスコアを縮められる人とそうでない人の違いは、「なんのために練習をしているのか」という意識の違いではないかと思います。
みなさんは「なんのために練習しているんですか?」と質問されたとしたら、どう答えるでしょうか。もちろん上手くなるため、ミスを減らすためと色々答えはあるでしょうが、私には、多くのゴルファーは「ただひたすらナイスショットを打つため」練習場でボールを打っているように思えます。
練習場でナイスショットを打つのに意味がないとは言いません。広い練習場で良い球を打つと爽快だし、ストレス軽減にはもってこいです。しかし、それでスコアが良くなるかといえば疑問。理由は単純で、練習場は真っ平らで、ミスがミスにならない人口マットが敷かれ、ナイスショットが出るまで何球でも(無罰で)打ち直しが可能だからです。
ドライバーを4球ミスして5球に超がつくほどのナイスショット。「この感覚だな!」なんて喜んでいる場合ではないのです。その前に4球コースならOBの球を打っているわけですから、コースではそのナイスショットは“9打目”なわけですから。
ではどういう練習をすればいいのか。まずは、コースでのプレーを考えるべきです。コースでは、気持ちよくマン振りできる状況はそう多くありません。平らなライから打てるティショットでも風や左右のOBやハザードがあり、セカンドショット以降はそこに傾斜が加わります。
つまり、フルスウィングはコースでほとんどできない。なので、フルショットの練習はあまりする必要がないんです。
・狭いホールで置きに行くティショット
・左に行かないように9番アイアンで100ヤード打つショット
たとえば、このようなショットは練習しておくとコースで“使える”はずです。同時に、どれくらいの力感で振ればどれくらいの高さで、どれくらい飛ぶかを確認しておくのも大切なことです。ゴルフは狙ったところにボールを運んで止めるゲーム。高さと距離感は最重要項目です。大切なのは「どれだけ飛ぶか」ではないのです。
あなたがF1レーサーだとしましょう。アクセルを踏み込んで最高速を出す練習だけでレースに勝てるでしょうか? ブレーキをかけて、ハンドリングを磨く練習をするはず。むしろそっちを大事にするはずです。ゴルフも同じです。F1のコースと同様、ゴルフコースも「直線」はありません。あるのは応用ばっかりですから。
練習場にいくとめちゃくちゃいい球を打っている人がけっこういます。プロ顔負けの球を打つのに、話を聞くと「調子が良ければ90を切れるんですけど、油断すると100打っちゃうんですよ」なんて言ってる。「練習場でのナイスショットが上手い」のと「スコアメークが上手い」のは別物なんです。
私自身、たいした球を打つわけではないので、はたからみたら「あの人、90切るくらいの腕かな」と思われているかもしれません。でも、いいんです。私はナイスショットの練習をしているわけではなく、スコアメークの練習をしているわけですから。