タイガー・ウッズの14年ぶりの「マスターズ」優勝や、渋野日向子の「全英女子オープン」制覇、「日本プロゴルフ選手権」での石川遼の復活優勝など、世間を巻き込んだビッグニュースが断続的に続く今シーズンのゴルフ界。ではその経済効果はどの程度だったのか?

タイガー、石川遼、渋野……使用ギアの売り上げが「絶好調」って本当?

「余計なお世話です」。そう煙たがれるのを覚悟の上で、各メーカーに「契約プロが優勝して、契約用具はいくら売り上げアップしましたか?」と質問し、回答をもらった。

画像: 2019年にそれぞれにとって記念すべき「優勝」を飾った渋野日向子(写真左:19年「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」撮影 姉﨑正)、石川遼(写真中央:19年「KBCライザップオーガスタ」撮影 有原裕晶)、タイガー・ウッズ(写真右:19年「全米オープン」撮影 姉﨑正 )

2019年にそれぞれにとって記念すべき「優勝」を飾った渋野日向子(写真左:19年「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」撮影 姉﨑正)、石川遼(写真中央:19年「KBCライザップオーガスタ」撮影 有原裕晶)、タイガー・ウッズ(写真右:19年「全米オープン」撮影 姉﨑正 )

まずは石川遼から。不振を極めたドライバーが復調したことで復活優勝にたどり着いたことから、使用する「エピックフラッシュ トリプルダイヤモンド」に注文が殺到? かと思いきや、大手量販店「ゴルフ5」マーケティング部はこう教えてくれた。

「『トリプルダイヤモンド』はもともと数量限定発売。石川プロが優勝時にはすでに完売してました」

つまり、石川の優勝前からすでに人気で、5月の発売からわずか2か月で予定本数を終了。そもそもの原型モデル「エピック フラッシュ」が契約プロの動向とは別に、ユーザーから高い支持があったことも推察される。

「TOUR B XS」(タイガー)と「シグマ2 アンサー」(渋野)は在庫切れに……

一方でタイガー・ウッズの使用ボールはタイガー効果抜群だったようだ。

画像: 渋野日向子のエースパターPING「シグマ2 アンサー」(撮影 大澤進二)とタイガー・ウッズの使用ボールブリヂストン「TOUR B XS」(メーカー提供写真)。2人の優勝後、爆発的なセールスを記録した

渋野日向子のエースパターPING「シグマ2 アンサー」(撮影 大澤進二)とタイガー・ウッズの使用ボールブリヂストン「TOUR B XS」(メーカー提供写真)。2人の優勝後、爆発的なセールスを記録した

今季タイガー が使用している「TOUR B XS」は、ブリヂストンによると4月のタイガー・ウッズの「マスターズ」優勝後、売り上げは前年の同月比で5月212%、6月264%と倍以上に跳ね上がり、一時は在庫も極めて品薄に。

8月まで3か月連続で国内シェアNo.1を獲得し「『TOUR B』シリーズのもうひとつのタイプ『X』も後を追うように売り上げを伸ばしました」(同社広報)と、タイガーが広告塔を務めるシリーズ全体に‟相乗効果“があったという。

使用ギア全てに波及した‟シブ子効果”は他メーカーの新作クラブをも凌駕!

そして、国内で最大級のインパクトを生んだのが、なんといっても8月の渋野の「AIG全英女子オープン」制覇だ。

まずは42年ぶりの栄冠をたぐり寄せたエースパターのPING「シグマ2 アンサー」が8月中に各量販店で軒並み完売。「パターは前月比の5倍以上の推移で受注を頂きました」(PING広報)と現在も量販店ではまだ品薄の状態。現在もフル稼働で生産を進めているが、予約注文でも約1カ月待ちの状況という。

さらに渋野のケースでは、パター以外にも注文が殺到。PING社によると、ドライバーの「G410 PLUS」や「i210 アイアン」も優勝前の2〜3倍のペースで注文が入っているという。この動向は実際に店頭で顧客と接する量販店も把握している。

「ゴルフ5」のマーケティング担当者に聞くと、渋野の全英優勝後は「パターに限らず、ドライバーやアイアンなども『とにかく、渋野のモデルが欲しい』と指名買いが急増しました」とのこと。

ここまで聞くと気になるのが、実際にメーカーが得る利益の話。さすがにこれについては各メーカーともに「社外秘」との反応だったが、某メーカーの担当者氏が、その額のイメージにつながる話をしてくれたので紹介する。

画像: 「全英女子オープン」優勝によるメーカーへの経済効果はパターを皮切りに渋野日向子が使用するドライバー、アイアンへも拡大していった(写真は19年の「NEC軽井沢ゴルフトーナメント」 撮影/姉崎正)

「全英女子オープン」優勝によるメーカーへの経済効果はパターを皮切りに渋野日向子が使用するドライバー、アイアンへも拡大していった(写真は19年の「NEC軽井沢ゴルフトーナメント」 撮影/姉崎正)

多くのメーカーは、契約プロが優勝すると新聞や雑誌の刊行物、WEB媒体などに「優勝広告」と呼ばれる広告を出稿する。「祝〇〇プロ××オープン優勝!」と大見出しが入り、トロフィー片手にプロがニッコリとほほ笑んでいるメーカーの広告がそれ。見たことがある人も多いだろう。

「たとえば、新聞でいえば、広告費用は記事下の5段広告で100~130万円ぐらい、一面広告となると300万円ぐらいが相場でしょうか。それも1社ではなくスポーツ新聞や一般紙の各媒体に出稿するケースがほとんど。かなりの費用になることが想像できると思います。そういった広告費を惜しまず出しても……というぐらいの利益を我々もプロが勝つことによって与えてもらうケースがあります」

「契約プロの1勝=メーカーの利益は〇千万!?」とも想像できそうな話だが、ひとつ言えることはプロの1勝は契約メーカーにとっても、それだけ貴重で得難い販売の好機ということなのだろう。

世間を揺るがす復活優勝やメジャー優勝などの劇的勝利となれば、その効果はさらに跳ね上がるのだ。

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