「フロー」とは時間を忘れるくらい完全に目の前のプレーに集中できている状態
今回は、スポーツ選手の中でも一般化されつつある言葉であり究極の集中状態を表す「フロー」について紹介していきます。どちらかというと「ゾーンに入る」という言葉の方が馴染みがあるかもしれませんね。
「今日のラウンドの前半はフローに入っていた」そんな状態は次のようなイメージでしょうか。
「今日の前半のラウンドは最初のホールからバシバシとショットが決まり、パターも最高にタッチが良かった。何をしてもうまくいきそうなイメージが次々と湧いてきてポジティブな感情の中、目の前のプレーに没頭していた」
できれば年に1、2回はこのようなフロー状態に入り、ベストスコアの更新を狙っていきたいものです。今回はそのフローにアプローチするための情報をお伝えしていきます。
「フロー」とはアメリカのクレアモント大学の心理学者であるハイ・チクセントミハイが提唱したもので、時間を忘れるくらい完全に目の前のプレーに集中できている状態でハイパフォーマンスを発揮している様を指しています。
実は、誰もがこのフロー体験をしているものです。勉強や絵を描くこと、スポーツ中など時間を忘れて目の前のことに没頭し、いつの間にかハイパフォーマンスを実践していた。こどもの頃に時間を忘れて友達と公園で遊んだり、ゲームに夢中になっていた。そんな体験です。あなたは過去にどの場面でフロー体験をしましたか?
チクセントミハイは人がフロー状態に入るために条件をあげています。今回はその条件の中でとくに私が選手をコーチングする上で重要視する3つを紹介していきます。
【1】適度な難易度へチャレンジをしている
【2】ゴルフを自分がコントロールできている感覚
【3】集中を邪魔する対象が気になっていない
1つめの条件である「適度な難易度にチャレンジしている」とは自分の能力のすべてを出して達成できるかどうかという難易度のスコアや試合にチャレンジをしているということを指します。子供が簡単にはクリアできないゲームに熱中しているようなイメージです。
2つめの条件である「自分がゴルフをコントロールしている感覚」とは他者の指示や他者のテンポにあわせるのではなく自分の意志で自分のプレーをコントロールできている感覚があり、打つボールも自分の想定の範囲内にコントロールできているようなイメージです。
3つめの条件である「集中を邪魔する対象が気になっていない」とは集中を妨げる要因である過去のミスや未来の結果への不安、他者の目線や評価、風やコース条件などが気にならずに手放せており、今ここにあるプレーに集中できている状態を指します。
これらの条件が満たされるといつもとは異なる高い集中力を発揮し、無心のような状態でいつの間にはベストプレーをやってのけることができます。
たとえば、あなたがこれまでのベストランドを3つ挙げるとすれば、いつどのコースでのゴルフでしょうか? きっと、それらのラウンドは上記の条件を満たすことができ、フローな状態であったのではないでしょうか。適度な難易度へのチャレンジを楽しみながら、何にも囚われることなく今目の前のプレーに没頭し、自分がゴルフをコントロールできているような高揚感のある状態。
当然、この「フロー」は毎回のゴルフで簡単に入れるものではありませんが、サポートするプロアスリートには上記の3つの条件を整えフローにアプローチすることをおすすめしていますし、アプローチすることは可能です。
自分はプロではないし、そこまでする必要はないと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、今のゴルフにマンネリを感じている方は今回のフローの条件を参考にするのもひとつの手かもしれませんね。