パッティングの技術がセンサーで“丸裸”に
パッティング解析センサー「キャプト」とは、専用センサーをつけてパッティングすると、コンピューター解析により、16項目にわたるクラブの様々な動きが明らかになるというパッティング技術向上のための分析ソフトだ。
実際に自ら、分析されることは初体験となる大西も「知ってますよ。実際にやった人から聞いたんですけど『丸裸にされる』って(笑)」と戦々恐々。キャプトパッティングコーチの資格を持つ橋本真和氏の立ち合いのもと、さっそくデータ解析に臨んだ。
まずは2メートルの距離で10球。同じところから打ち、平均値を算出。出てきたデータは、かなり理想値に近いものだった。
「さすがです! 大西プロはとくにフェースローテションなど、理想的な軌道と言えますね」(橋本氏)
ただ、気になる項目もあるという。
「16項目のうちの『加速度/速度』という項目です。この項目の速度はゼロに近い数値が理想。無意識も含めて手で操作を入れようとするほど、速度は出てしまいますから」(橋本)
フォローで加速するように打つのがいい、とよく言われ、大西自身そのような意識でストロークしていた。そのことで加速度の数値が「+」になっていたのだが、実際は一定の速度で振り抜くほうがいいことがデータ上わかってきているのだとか。
フォローで加速するどころか、「インパクト時にボールの重みでフォローがなくなるぐらいで打ってみると、速さが均等に近づくと思いますよ」と橋本氏からアドバイス。
これには目からウロコの様子の大西が再度挑戦すると、クラブが急加速するようなことはなくなった。
「今まではフォローを大きくという意識だったんですけど、今は逆にフォローよりも、バックスウィングに意識を置いて、ダウン以降は流れに任せる感じで打ちました」(大西)
橋本氏曰く「PGAツアーなどでも、このキャプトのインパクト前後のデータからパッティングのフォローは『ほとんどフォローが入らないぐらい』の打ち方とスピードが理想と言われるようになっています」という。
「正直、打感も変わりました。インパクト前後で、より自然な感じでクラブが通る感じですね。これは、自分の考え方が間違っていましたね。感覚的にも、脱力して打てているのは分かりますから」
感覚的な部分をデータが否定する。これは、最近の計測器の進化の目に見える恩恵のひとつだ。データの力を借りて、大西はまたひとつプロとしての‟引き出し“を得た様子だ。