昨年高校生でプロテストに合格。QT(予選会)も13位と上位でフィニッシュして今季の出場権を獲得した山下美夢有(みゆう)。先ごろ開催された「三菱電機レディス」ではフェアウェイキープ率95%と驚異の数値を叩き出し、8位タイと上位フィニッシュを果たした。そのスウィングに、プロゴルファー・中村修が注目した。

ツアールーキーとして参戦する今シーズンは開幕から3戦連続予選落ちを喫しましたが、その後は8戦して予選落ちは1回、トップテン入りは2度と安定して戦っている山下選手。

2週前の「三菱電機レディス」を現地取材した際に、山下美夢有選手のスタッツを見て驚きました。初日、2日目は14回中14回フェアフェイをとらえフェアウェイキープ率100%、最終日も12回フェアフェイをとらえ3日間のフェアウェイキープ率は95%。3日間、54ホールをプレーしてフェアウェイを外したのが2回だけというのはすごい。

パーオン率も3日間で79.6%と非常に高く、飛距離は230ヤードほどですが、距離の残る2打目でもグリーンをとらえる正確性は見事です。

また、3日間を通してボギーは2つ(ダブルボギー1個)とグリーンを外してもアプローチとパットで切り抜ける技術も持ち合わせています。正確性で勝負するそのスウィングを、じっくり見てみましょう。

画像: プラチナ世代よりも1学年年下でツアールーキーとして初優勝を目指す山下美夢有(写真は2020年の三菱電機レディス 写真/姉崎正)

プラチナ世代よりも1学年年下でツアールーキーとして初優勝を目指す山下美夢有(写真は2020年の三菱電機レディス 写真/姉崎正)

150センチの小柄な体形のせいもあり比較的前傾角の浅い姿勢でバランスのいいアドレスです。このホールの狙い目は右サイドで、彼女はドローヒッター。その狙いに対して、ひざ、腰、肩のラインが平行に構えられています(画像A左)。

テークバックではアドレスで作られたクラブと腕の角度をキープしフェースをボールに向けたままクラブを上げ、頭から手元の遠いややフラットなトップにおさまります(画像A右)。ウェアを見ると右の股関節部分にしわがよっていて、骨盤の前傾もキープされていることがわかります。

画像: 画像A 前傾はやや浅く構え(左)、右の股関節のシワが示すように骨盤の前傾をキープしながらフラットでフェースの向きは空を向くシャットフェースのトップ(右)(写真は2020年の三菱電機レディス 写真/姉崎正)

画像A 前傾はやや浅く構え(左)、右の股関節のシワが示すように骨盤の前傾をキープしながらフラットでフェースの向きは空を向くシャットフェースのトップ(右)(写真は2020年の三菱電機レディス 写真/姉崎正)

画像Bはダウンスウィングからインパクトにかけて。シャフトのラインに注目してみてみると、ダウンスウィングで右肩よりも下からクラブが下りてくる、ややフラットなスウィングです。

画像Aのアドレスの写真も含めて見比べてみると、アドレス、ダウンスウィング、インパクトとシャフトのラインが一枚の面の上をなぞるように動いていることがわかります。ダウンスウィングの早い段階からプレーンに乗る非常にきれいなオンプレーンなスウィング軌道ですね。

コーチはつけずにお父さんに教えてもらっているということですが、非常に完成度の高いスウィングです。

画像: 画像B アドレス、ダウンスウィング、インパクトと一枚の面をなぞるようにクラブが動くオンプレーンなスウィング(写真は2020年の三菱電機レディス 写真/姉崎正)

画像B アドレス、ダウンスウィング、インパクトと一枚の面をなぞるようにクラブが動くオンプレーンなスウィング(写真は2020年の三菱電機レディス 写真/姉崎正)

昨年、QTを終えた直後の山下選手に話を聞くと「飛距離も出ないほうなので、中学生くらいから小技を磨き始めました」と自分のプレースタイルを確立し長所を伸ばすゴルフで結果を出してきています。

8位タイで終えた三菱電機レディスの開催コース・武蔵丘CCのグリーンは硬く速く、飛距離のある選手でも攻略するのに苦労していましたし、グリーンを外すと砲台グリーンへの難しいアプローチが残る厳しいセッティングでした。その中で成績を残せたということはショット力、小技だけでなくマネジメント力も高いことを表しています。

その試合で優勝したプラチナ世代の西村優菜選手よりもさらに1学年下。西村選手に続いて初優勝を目指す山下美夢有選手に、今週の「伊藤園レディス」では注目です!

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