クラブが進化し、弾道計測器などのテクノロジーで弾道やスウィングの秘密も可視化されてきた現代。そんな時代の“新たな基本”を、今年から松山英樹と契約を交わした気鋭の指導者・目澤秀憲に教えてもらおう。第7回は「インパクト」がテーマ。

ゴルファーには、人それぞれもっとも力を発揮できる「右軸タイプ(代表:ダスティン・ジョンソン)」「センター軸タイプ(代表:タイガー・ウッズ)」「左軸タイプ(代表:ブライソン・デシャンボー)」が存在するというのが目澤の基本的な考え方。

もちろん、3タイプにくっきり色分けされるわけではなく、たとえばセンター軸寄りの右軸タイプ、といったようなグラデーションが存在するわけだが、自分がどのタイプに近いかを知り、それぞれのタイプに合ったスウィングをすることが上達に直結するというわけだ。

自分がどのタイプかは、座布団やインパクトバッグなどを叩き最大に力を発揮できる形によって判別できる。右足を軸にしたとき、左足を軸にしたとき、その中間……どの体勢でもっとも力を出せるかをチェックしてみよう。

さて、ではこのタイプの違いがインパクトにどのような影響を及ぼすのだろうか?

「目に見えるところではハンドファーストの度合いが変化してきます。左軸タイプは右軸やセンター軸に比べてボールに対して近い位置でインパクトを迎えるのでハンドファーストの度合いは少なくなります。それに対して右軸タイプはハンドファーストが強め。センター軸はその中間になります」(目澤、以下同)

タイプ別に細かく説明してもらおう。まずはデシャンボーのような左軸タイプから。

画像: 左から右軸タイプのダスティン・ジョンソン、センタータイプのタイガー、左軸タイプのデシャンボー(写真/姉崎正)

左から右軸タイプのダスティン・ジョンソン、センタータイプのタイガー、左軸タイプのデシャンボー(写真/姉崎正)

「左股関節の内側に軸の意識を持つ左軸タイプは、テークバックからトップにかけて右サイドへの移動は最小限で、ボールから離れる距離は少なくなります。切り返しでは早い段階で左ひざを伸ばし、縦方向の力を使う割合が多くなるため、胸は開かず、手元はハンドアップになることが自然です。ハンドファーストでなくても左手の甲がターゲットを向きやすいウィークグリップがマッチするパターンが多いですね」

ウィークグリップはアドレスとインパクトで左手の角度がほぼ同じになる。そのため、手を前に出さなくてもフェースをスクェアに戻しやすい。そのため、ハンドファーストの度合いが少ない右軸タイプにマッチするというわけだ。では、センター軸タイプはどうか。

「センター軸タイプは、切り返しで左足を踏み込んで左に少し移動してからダウンスウィングに移行していきます。その移動の度合いにもよりますが、インパクトではややハンドファーストに当たるのが自然。少しハンドファーストで当たる分スクェアグリップがマッチします」

タイガーに代表されるセンター軸タイプは、体の回転とフェースローテーションの両方を使っていくのが自然。そのため、ウィークではなくスクェアに握り、肩のラインがやや開いた状態でインパクトを迎えるケースが多い。そして最後は、右軸タイプだ。

「右軸タイプはボールに対して軸が遠くにあるためハンドファーストの度合いは一番強くなります。手元が先行した状態でインパクトを迎えるのでストロンググリップがマッチし、胸は開き、右の体側が縮み右肩が下がる側屈(サイドベンド)の度合いも強くなります」

画像Aをご覧いただきたいのだが、右軸タイプはインパクトのラインで肩が明らかに開いていて、ハンドファーストの度合いも強い。この状態でフェースをスクェアに保つためには、スウィング中にフェース面を開かず、閉じた(シャットな)状態を保つ必要がある。そして、そのようなフェース使いにはフェースの開閉を行いにくいストロンググリップがマッチするというわけだ。

画像: 画像A:右軸タイプはハンドファーストと右の側屈の度合いが強く胸も開いた形で左手のグリップはストロングがマッチし、センタータイプは3タイプの中間でグリップもスクェア、左軸タイプはハンドファーストの度合いは一番少なく胸はターゲットラインと平行でウィークグリップがマッチする

画像A:右軸タイプはハンドファーストと右の側屈の度合いが強く胸も開いた形で左手のグリップはストロングがマッチし、センタータイプは3タイプの中間でグリップもスクェア、左軸タイプはハンドファーストの度合いは一番少なく胸はターゲットラインと平行でウィークグリップがマッチする

もちろん、インパクトの形は意識して作るものではない。しかし、インパクトの形にはタイプの違いが明確に現れ、それぞれに適したグリップとも連動している。そのことは覚えておいて損はないだろう。

取材協力/Five elements

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