2日目は河本結が「63」のビッグスコア
2021年の女子ツアー4戦目にして現地取材の機会に恵まれたアクサレディス。初日2日目は満開の桜にセミの鳴き声が聞こえるという宮崎らしい汗ばむような陽気でした。
迎えた最終日は、2日目に63のトーナメントコースレコードを打ち立てた河本結選手が、後続を4打リードして二年越しの二連覇に挑むという展開。
2日目の河本選手の9アンダー63を間近に見ましたが、まったく危なげなく着実にバーディを重ねていました。仲良く練習ラウンドをともにした原英莉花選手との組み合わせでしたが、大会前の水曜日に「大好きなおばあちゃん」を亡くし、悲しみを背負ってプレーする原選手との会話はありませんが、無言で原選手を励ます河本選手のやさしさを垣間見た気がします。原選手は最終日もスコアを伸ばし10アンダー3位タイで終えています。
2日目の河本選手のプレーに話を戻すと、グリーンを外してもチップインバーディを奪ったり、アプローチを寄せて難なくパーで切り抜けるなど流れを切らさずに素晴らしいラウンドでした。好スコアの背景には、キャディを務めた清水重憲さんのマネジメントがあったと言います。
「ピンを狙わないマネジメントで、こんなにバーディが取れてスコアメイクできたことがうれしいです。今まではピンを狙っていたのですがボギーフリーを目指して、広いほうを狙ってその通りにラウンドできました」
最終日、逃げ切りを図った河本を岡山が追った
最終日は、夜中から降り始めた雨が徐々に強くなり、11時頃には強風になり、雷も近づき45分程度の一時中断の後再スタートです。
前半の河本選手は7番、8番とチャンスにつけるもパットを決められません。昨日グリーン奥からふわっと浮かせて見事なチップインバーディを決めた9番ホールでは、アプローチを寄せきれずにボギーが先行します。それに対して岡山選手は出だしを連続バーディのあとパーを並べ虎視眈々とチャンスを待つ展開が続きます。
後半になると雨も上がり風も少し出てきます。河本選手は距離のある11番パー4でバーディを奪い引き離しにかかりますが15番で広いサイドからのロングパットを3パットでボギーとし13番、14番と連続バーディを奪った岡山選手に並ばれます。
残り3ホール、16番の打ち下ろしで縦長のグリーンの奥に切られたパー3で、河本選手は4メートルのバーディチャンスにつけますが決められません。17番も果敢に左奥に切られたピンを攻めますがバーディパットは決まりません。
一方の岡山選手は、昨年からコーチ契約する南秀樹コーチから「6アンダー目指して最低でも4アンダーでプレーしてこい」とハッパをかけられていたといいます。
「南コーチに言われた6アンダーにはあと2つ足りない。でも18番(パー5)で2オン狙ってイーグルかバーディは絶対に取ろうと思いました」
その言葉通りにフェアウェイから打った3Wの2打目をグリーン左手前に運びます。そこからのアプローチを2.5メートルに寄せ、ウィニングパットとなるバーディパットを決めました。
河本選手は18番のフェアウェイからの2オンを狙った2打目をわずかにボールが沈んでいたライのせいもありダフってピン手前40ヤードの花道に。傾斜の入り組んだ位置に切ってある難しいアプローチを寄せきれずにピン奥から4メートルに。このパットを決められず万事休す。後半はバテて下半身がブレてしまいショットに制裁を欠いたと会見で話し、悔しさをにじませました。先週、体調を崩し2日目開始前に棄権した影響がここで出てしまったようです。
2勝目までが長かったと涙した岡山選手ですが、勝てそうで勝てなかった19年、ショットが悪く開幕戦の「アース・モンダミンカップ」から3試合連続の予選落ちなど復調できなかった20年を経験し、南秀樹コーチの門を叩いたといいます。30ヤード、50ヤードのアプローチでボールをゆっくりと飛ばす練習を徹底的に指導されたことで、ショットまで復調したそうです。悩んでいたパッティングも点(芯)で打つのではなく面(フェース面)で打つことを心がけ入るようになったといいます。
そして、プロとしてどんなプロになりたいのか、志を持つことを教えてもらったと話します。「強いプロになりたい」と精神面も成長したことでグリーンを外しても怒らずに穏やかな平常心で臨めるようになったそうです。トーナメントで活躍するためには、技術だけでなく精神面の成長も不可欠なのだと再認識した会見でした。
また一人、24歳の手強い選手が生まれました。これからもトーナメントを盛り上げる存在になることでしょう。