早速、クラブとヘッドを計測していく。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトはメーカー純正の『Diamana ZX‐Ⅱ50(フレックスS)』で、数値はすべて実測値になる。クラブ重量は301.7gと標準的だが、クラブの長さが45.5インチとやや長く、スウィングウェイトもD2.5とやや大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが292万g・㎠と大きくなっている。この数値だとドライバーのヘッドスピードが46m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計と言えるだろう。
ヘッドは横幅が広めの全体にオーソドックスな丸型形状で、輪郭や後方が高いハイバック形状は標準モデル『ZX5 MkⅡ』と同じ。違う点は、より強いオープンフェース(フェースアングルはオープン1.5度)で、リアルロフト角もより小さく(9.8度)、厳しくなっていることだ。
実際に試打したところ、まずアドレスで標準モデルよりも強いオープンフェース設定、そしてライ角度も58.5度とアップライト過ぎず、また、トウ先に丸みのあるフェース面で逃げ感も出ている。その結果、アドレスでは『ZX5 MkⅡ』よりもさらに球をつかまえ過ぎないイメージが出ている。試打した純正シャフトは軟らかめの設定ながら、インパクトの再現性も良く、ヘッドスピードが40m/sくらいのゴルファーでも十分扱えそうだ。
『ZX5 MkⅡ』ではヘッド後方にあった8gのウェイトビスが、『ZX5 MkⅡLS』ではフェース寄りに配置されている。その結果、ヘッドの重心深度が36.4ミリと『ZX5 MkⅡ』と比べ、約7ミリ浅くなっている。浅くなった重心深度分、フェース面のスイートスポット高さが36.2ミリと約2ミリ低くなり、標準モデルと比べてバックスピン量が少なくなるのが特徴だ。一方、ヘッドの重心深度が浅くなったため、左右方向とヘッド慣性モーメントは4360g・㎠と小さくなり、ミスショットに対する寛容性は下がっている。インパクト音は『ZX5MkⅡ』と比べて、高く、軽やかな感じがする。
普段から低スピン過ぎて球がドロップしやすいゴルファーにとっては、スピンが適度に入ってキャリーを伸ばしやすい『ZX5 MkⅡ』を、また、標準モデルよりも低めのフェード系弾道を打ちたいならば『ZX5 MkⅡ LS』を選択するといいだろう。しかし、前モデルの『ZXシリーズ』と違い、それぞれに特徴のあるヘッドなので、『ZX7 MkⅡ』を含めた3種類のクラブをすべて試打してから、自分に合うもの、飛ぶものを選ぶことをオススメする。
これがスリクソンZX5MkⅡ LSの計測データだ!
※週刊ゴルフダイジェスト2022年12月27日号「松尾好員 責任計測×責任分析 ヘッドデータは嘘つかない!」より