16位タイの賞金32万4000ドル(約4300万円)はゼロだが…
昨年の全米アマチャンピオンとして予選ラウンドを前年覇者のS・シェフラーと同じ組で回ったベネットは68-68をマークし、シェフラーを圧倒した。
ラウンド中、時折左腕に刻まれたタトゥーに目をやる姿が印象的だったが、実はこのタトゥーは、亡き父が残した遺言ともいうべきもの。
45歳の若さで若年性アルツハイマーを発症し、一昨年他界した父マークさんが亡くなる1年前、息子に向けた「Don’twait to do something」(何かをするのに待つ必要はない)というメッセージを、直筆そのままに腕に刻んでいたのだ。
世界ナンバー1経験者2人を相手に戦った第3ラウンドは76と崩れ、C・モリカワと回った最終ラウンドは74。予選ラウンドの勢いは止まり、松山英樹らと並ぶ16位タイに終わったが、18番ではスタンディングオベーションで迎えられ、「週末は思ったようなプレーができなかったけれど、あれは人生でもっともクールな瞬間でした」とベネット。
「子供の頃から父を失うまで、そしてそれ以降も日曜日にオーガスタ18番の丘を歩くことが夢。ゴルファーなら誰もが夢見る景色のなかにいられて興奮しました」。
16位タイの賞金は32万4000ドル(約4300万円)だが、もちろんアマチュアはゼロ。しかし専門家によれば、大学のアスリートやアマチュアゴルファーが獲得することができるようになったネーム・イメージ・ライクネス(NIL)保証金により、「少なくとも数千万円から億単位の金額を手にする」という。
本人のインスタグラムでもすでにPINGなど6、7社がスポンサーとして紹介されており、今回のテレビでの露出や話題性を加味すると、プロ転向前に彼が億万長者になることは間違いなさそうだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月2日号「バック9」より