「ステルス2」シリーズ唯一のスライドウェイト付き
早速、『ステルス2 プラス ドライバー』を試打、計測していく。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトはメーカー純正『ディアマナTM50 (フレックスS)』仕様。掲載する数値はすべて実測値になる。
クラブ重量は309.6gとやや重く、クラブ長さも45.38インチとやや長く(60度法では46.0インチでローカルルールギリギリ)、スウィングウェイトがD3.6と大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが296万g・㎠と大きくなっている。
この数値であれば、本来はドライバーのヘッドスピードが48m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計と言えるだろう。
ヘッドはテーラーの伝統的な縦長形状で、『ステルス』シリーズと同様だが、標準モデル『ステルス2』と比べると、ひと回り小ぶり感が出ている。
前作の『ステルス プラス』とは違い、オープンフェースが強くなり、またライ角もかなりフラットになっている。また、ソール面にはスライド式ウェイトがあり、弾道調整ができることも特徴だろう。
パワーヒッターが強い低スピン弾道で飛ばせる
実際に試打したところ、フェースアングルが2.0度と強いオープンフェースで、ライ角度は53.5度とかなりフラットのため、球をつかまえたいイメージはまったく浮かばない。
ヘッド後方が高いハイバック形状で、インパクト付近をレベルにスウィングして、厚いインパクトをしやすくなっている。
試打クラブのシャフトはやや軟らかめの設定だが、適度なしっかり感もあり、ヘッドスピードが43~ 45m/sくらいのゴルファーならこの組み合わせの恩恵を受けるはずだ。
ソール面のスライドウェイトがN(ニュートラル)でもフェース中央よりもトウ側にスイートスポット(SS)が位置されているため、フェース中央で球をヒットしても、球にはフェード回転がかかりやすくなっていて、オープンフェース&フラットなライ角とともに、PGAツアープロが求める「中弾道フェード」がイメージできる。
スライドウェイト位置がフェース寄りなので、3モデルある『ステルス2』シリーズの中で、もっとも重心深度が浅く(40.2㎜)、SS高さも低め(33.5 ㎜)になり、結果、低スピン弾道を打ちやすくなっている。
3モデルの中では左右方向のヘッド慣性モーメントは4541g・㎠ともっとも小さいため、決してやさしいヘッドではないが、ヘッド重量は202.5gと重く、リアルロフトも10.3度と小さめなので、ボール初速を出しやすく、うまくミートできればこの『プラス』がもっとも飛距離が出そうだ。
これが「ステルス2 プラス」ドライバーの計測データだ!
前モデル『ステルス プラス』よりもフェースアングルがオープンに。53.5度のライ角と相まって、アドレスでは左に行くイメージがまったくなく、パワーヒッターが叩いていける仕様になっている。
重心深度は40.2ミリとやや深い。前モデルに比べ、深くなった重心深度により、左右方向のヘッド慣性モーメントが4541g・㎠とやや向上。簡単なクラブではないが、ミスヒットにはやや寛容になった。
SS高さが低く(33.5ミリ)、フェース高さが55.3ミリなので、低重心率が60.6%となり、やや低重心設計といえる。『ステルス2』シリーズのなかではもっとも低スピンが打てるモデル。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月2日号「松尾好員のヘッドデータは嘘つかない!」より