テーラーメイドはカーボン使用率をこれまで以上に高めた『Qi10』シリーズで「飛距離とやさしさの両立」を掲げた。ツアープロ、上級者モデルとなる『Qi10 LS』はどのような進化を遂げているのか? 『ステルス プラス』、『ステルス2 プラス』と比較しながら、クラブ設計家の松尾好員氏とともに検証してみた。
画像: 【試打クラブスペック】ロフト角●10.5度 ライ角●54度 体積●460cc 価格(税込)●9万9000円 ※メーカー公表値

【試打クラブスペック】ロフト角●10.5度 ライ角●54度 体積●460cc 価格(税込)●9万9000円 ※メーカー公表値

『ステルス2』よりも振りやすさアップ! 慣性モーメントもアップ!

テーラーメイドは2000年からチタンに変わる素材としてカーボンの研究を進めてきた。カーボンはチタンよりも軽いという特徴があり、軽量化による余剰重量の捻出によってヘッド後方を重くし、深重心にすることで芯を外した際の飛距離ロスの軽減を図れると考えた。
2012年に初代カーボンドライバーとして『グローレ リザーブ』がアジアの一部地域で発売された。しかし、期待とは裏腹に浸透するまでには至らなかった。その10年後の2022年に『ステルス』で再びカーボンフェースを搭載。後継機の『ステルス2』ではカーボン使用率が他素材を上回り、テーラーメイドのカーボウッド化が進んだ。
『Qi10』シリーズはカーボンフェースをさらに改良。クラウンに配したカーボンの割合を97%まで増やし、ヘッドの慣性モーメント(MOI)を高めた。

『Qi10 LS』はシリーズ内での位置づけが「ツアー、上級者モデル」になる。クラブ設計家の松尾好員氏の計測によれば、スイートスポット高さが33.0mm、フェースの高さに対する重心高さを表す低重心率は59.7%と「低重心設計」になっている。「これは上級者向けのドライバーによくある設計方法で、ヘッドスピードが速く、自分の力で球を上げられるゴルファーにとって最も飛距離が出せるドライバーになる」と言う。

同じツアー、上級者向け『ステルス プラス』、『ステルス2 プラス』も低重心設計だったが、『Qi10 LS』にはどこか異なる点があるのだろうか。フェースの色は赤から青になったが、アドレス時の顔の形状は基本同じで、見た目の形状からだけでは性能の違いを見つけるのは難しい。

画像: 左が『ステルス2 プラス』、右が『Qi10 LS』。一目で違いが分かる部分は色違いのフェースだけ。それ以外はそっくりな形状をしている

左が『ステルス2 プラス』、右が『Qi10 LS』。一目で違いが分かる部分は色違いのフェースだけ。それ以外はそっくりな形状をしている

松尾氏は「クラブ長さ」と「ヘッドの慣性モーメント」に着目した。クラブ長さを比較すると、ステルスプラスとステルス2 プラスは45.38インチ、Qi10 LSは45.25インチと短くなっている。
ヘッド左右MOIは『ステルス プラス』が4364g・㎠、『ステルス2 プラス』が4541g・㎠、『Qi10 LS』は4617g・㎠と値は大きくなっている。

このヘッド左右MOIが大きくなった理由として、「カーボン比率のアップによる余剰重量の捻出によって、ヘッド後方に配されたバックウェイトの恩恵が高まり、ステルスやステルス2 プラスでは実現しきれなかったカーボンの特性を生かしている」と松尾氏は分析する。

松尾氏はさらに、「クラブ長さが短くなったことで振りやすくなった」と分析している。精度の高いボールコンタクトが要求される低重心系の上級者モデルの中では、『Qi10 LS』は長さが短くなったことから生まれる振りやすさがミート率を上げ、芯で球をとらえやすくしている点が見て取れた。

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