昨年の全米プロは日本人選手6人が参戦
1916年に第1回大会を開催した全米プロゴルフ選手権。長らく全英オープンのあとの8月に、その年、最後のメジャーとして行われてきたが、2019年からマスターズのあとの5月に開催月を変更した。
昨年大会には松山英樹、星野陸也、金谷拓実、稲森佑貴、香妻陣一朗、木下稜介と6名の日本人選手が参戦するなど、今でこそ日本人が当たり前のように挑戦しているが、日本人が初めて参加したのは1979年。宮本留吉の日本人初のメジャー出場である1932年全英オープンから47年経っていた。
前年に欧州ツアーのワールドマッチプレーを制した青木功。4月に5回目のマスターズに出場すると34位タイ。6月の全米オープンが日本の賞金王を招待することになり、出場すると36位タイ。そして2年連続7位タイでフィニッシュした7月の全英オープンのときに、シーズン最後のメジャー、全米プロに招待された。
そのため、全英オープンのあと、すぐにアメリカに飛び、フィラデルフィアクラシックに出場。4日間プレーして、最終日のラウンド後に会場であるオークランドヒルズCCにほど近いデトロイトに入った。
だが、さすがの長旅と連戦で疲労がたまり、月曜日を一日休養に充て、火曜、水曜と1ラウンドずつ回ったが、明らかに準備不足。1951年に同じコースで行われた全米オープンで優勝したベン・ホーガンが「モンスター」と評したコースにのみ込まれ、前年のマスターズ以来となる予選落ちを喫した。
だが日本人初となる4大メジャーすべてに出場した経験と不屈の闘志がこの屈辱をはねつけ、翌年の全米オープン、「バルタスロールの死闘」では2位、そして1983年のハワイアンオープンでの優勝につながっていく。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月23日号「ニッポンゴルフ初物語」より