「すべてがボロボロ。ティーショットは曲がりちらかして、グリーンを狙うショットも、グリーン上のライン読みも……もう少し頑張らんといけないですね」と話した渋野日向子。2週後には所属プロとして初めて臨むサントリーレディスが待っている。「そこまでにちょっとした感覚のズレを何とかします」と話し、会場をあとにした。
渋野とは対照的に、圧巻のプレーをしたのは、同じスポットで参戦している西村優菜。5連続を含む9個バーディ(1ボギー)と、完璧なゴルフ。過密日程の疲れを感じさせないプレーで、一気に4位タイにジャンプアップした。
アメリカでは硬いグリーンに悩まされ苦しい日々が続いているが、ここでは得意のアイアンがキレキレだった。朝行われた第2ラウンドの14番。残り145ヤードを7Iで振り抜いた打球は、ピン手前5メートルに着弾し、転がってそのままカップインしてイーグルを奪った。「あのイーグルから流れがつかめた」と本人が話すように、第3ラウンドではバーディが止まらなかった。
2番で残り140ヤードを7Iで1メートルにつけると、9番でも4メートル、16番では3打目を50センチ、18番ではあわやイーグルかという、“ピンを刺す”ショットで次々にバーディを奪ったいった。
「日本のフェアウェイは、アメリカと比べると少し浮いている感じ。それが原因かはわからないですが、今週はアイアンが飛んでいるんです。だんだんと慣れてきて、それが上手くかみ合ってくれたんだと思います。ドライバーは気持ちよく振れていないんですが、疲れもあるし、そこはしょうがないかなと割り切っています。アイアンはそこそこラインが出ていたかなという感じですね」(西村)
9個のバーディを奪いながらもショットは“そこそこ”と表現する辺りは、さすが西村という感じだが、バーディは技術とは違う部分にも理由があると本人は話す。
「声援がありがたかったですね。いいラウンドができて、ファンやギャラリーの方が一緒に盛り上がってくれたので、その声援を聞くたびに『また頑張ろう!』と思えた。声援に乗っていけたので、バーディがたくさんきたんだと思います」(西村)
第2ラウンドの残りと第3ラウンド、計28ホールの長丁場を戦った。そこに過密スケジュールも重なり、当然ながら疲れはある。
「疲れましたね(笑)。途中から自分でも『あ、疲れているな』と感じていて。でも、一回一回切り替えようと思ってプレーしていました。だから、集中するところと抜くところを意識的にコントロールしながら対応していました。あとは、できるだけ悩まないように、シンプルにゴルフをすることを心がけました」
「ファンのみなさんに会いたくて、声援を聞きたくて出場することを決めました」という西村。トップと4打差で迎える最終日。技術と気持ちが上手くかみ合えば、最高の声援を受けられるはずだ。
西村の進撃がつづくのか。山下美夢有が逃げ切るのか。岩井姉妹が再び来るのか。4日間トーナメントの最終日が始まった。(PHOTO/Shinji Osawa)