ロフト角、フェース向き…『LS』よりも厳しめのヘッドだ
HS40m/s前後のゴルファーに向けたプロギア『LS』のプロトタイプ『LSプロトタイプ ワンクローバー』を紹介する。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトは三菱『ヴァンキッシュ5 (S)』仕様。掲載する数値はすべて実測値になる。
クラブの長さは45.5インチとやや長いが、クラブ重量が297.6gと標準的で、スウィングウェイトもD1.4と標準的なので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが288万g・㎠に抑えられ、本来はドライバーのヘッドスピードが43~44m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計となっている。
標準『LS』と同様に全体に丸くゲンコツ型の力強いイメージで、FP値(フェースプログレッション)が小さい、いわゆるグースネック系のヘッドだが、『LS』よりもフックフェース度合いが弱い。ソール面にウェイトビスは付いているが、カチャカチャのないシンプルな構造だ。
フェード系バイアスのヘッド性能を生かしたい
実際に試打したところ、まずアドレスではライ角が58.5度と標準的だが、『LS』よりもフラットで、フェースアングルもフック0.5度と弱め。左を向いたクラウンのLSマークもなくなり、全体に『LS』よりも球をつかまえたくないイメージ。また、フェース面があまり見えず、計測すると9.6度とリアルロフトが立っていることがわかる。
試打クラブのシャフトは適度なしっかり感があり、インパクトの再現性もいい。『LS』よりもリアルロフト角設定が厳しく、かつグース系ネックと相まって基本的に球は上がりにくいが、上手くミートすればボール初速を出しやすくなっている。
また、『LS』よりもスイートスポット(SS)高さが低いので、低スピンになりやすく、かつSS位置がフェース中央よりもトウ側にあるので、フェース真ん中でインパクトしても、フェード系弾道になりやすく、またネック軸回りの慣性モーメントも『LS』よりも大きいので、フェードバイアスヘッドといえるだろう。
『LS』と同様に、特に大きなヘッド慣性モーメントを狙ったモデルではなく、『RS』シリーズよりも寛容性は低くなり、しかも、打ち出し角度が出にくい要素(①FP値が小さいグースネック系②リアルロフトが厳しい)と、低スピンの要素(①低重心ヘッド②リアルロフトが厳しい)があり、『LS』に比べて明らかに難易度が高い。
プロトタイプヘッドの割にはインパクト音が高い軽めの打音が特徴だが、球をつかまえてドロー系に打つとスピンが足りないので、フェードバイアスヘッドを生かしながらフェード系に打ったほうが、スピンが安定して飛距離が出やすい感じだ。
これが「LS プロトタイプ ワンクローバー」の計測データだ!
フェースアングルは0.5度フック。『LS』のフェースアングルは1度フックなので、フック度合いは弱くなっている。また、ライ角は『LS』の60.5度に比べ、58.5度とフラットなので、球がつかまり過ぎるイメージはない。
またリアルロフト角は9.6度と小さい。『LS』のリアルロフト角は10.4度と表示ロフト(10.5度)よりも小さかったが、このクラブも表示ロフトより小さい。球は上がりにくいが、ボール初速を出しやすいヘッドだ。
重心距離は41.6ミリと長い。スイートスポット位置がトウ寄りのフェードバイアスヘッドで、ネック軸回り慣性モーメントが7461g・㎠と大きいため、フェード系弾道が打ちやすい。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月30日号「松尾好員のヘッドデータは嘘つかない!」より