軽量で振りやすく、つかまりがいい
重ヘッドが特徴のピンゴルフから発売された軽量モデル『G430 HL』シリーズのなかで、つかまりのいい『G430 HL SFTドライバー(以下・HL SFT)』を試打、計測していく。
試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5 度、シャフトはメーカー純正『フジクラ
スピーダーNX45』仕様。掲載する数値はすべて実測値になる。
クラブの長さは45.5インチとやや長いが、クラブ重量が274.4g と非常に軽く、スウィングウェイトもC8.8と小さいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが278万g・㎠と小さくなっている。
この数値であれば、本来はドライバーのヘッドスピードが38m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすい設計と言えるだろう。ちなみに標準の『G430SFT(以下・SFT)』のクラブ全体慣性モーメントが288万g・㎠なので、明らかに振りやすいことが最大の特徴だ。
『SFT』と同様にヘッドの横幅が非常に広い形状で、全体的にやや三角形に見える。また軽量の『G430HL MAX(以下・HL MAX)』よりもフックフェース設計(『HL MAX』はオープン1.0度、『HL SFT』はフック0.5度)で、リアルロフト角も12.6 度と大きく、球は上がりやすい。
逃げ顔の『MAX』、つかまり顔の『SFT』
実際に試打したところ、フックフェースで、球をつかまえたい気持ちが伝わってくる。試打クラブのシャフトはかなり軟らかめだが素直なシナリ感で、ヘッドスピードが30m/s 台のゴルファーとの相性が良さそうだ。
クラブを軽くした理由がここにあるのか、『SFT』よりも1/4インチ、クラブが長い。『SFT』よりもヘッド後方のウェイトが軽いので、重心深度が浅くなり、結果左右方向のヘッド慣性モーメントはより小さくなり、寛容性という点では『SFT』のほうが高い。
低重心率が67.9%と高重心設計でスピンは入りやすいが、ヘッドスピードが遅いゴルファーにとってはむしろ球がドロップしにくく、キャリーを出しやすい。同じ軽量モデルの『HL MAX』よりもフェース面のスイートスポット(SS)位置が少しヒール寄りで、またヘッドのネック軸回り慣性モーメントも小さいので、ダウンスウィングでのヘッドの返りが良くなり、総じて『HL MAX』よりも球をつかまえやすい。
ターゲットとなるシニアにも打ってもらったが、キャリーで170~180Yくらいのゴルファーが最も綺麗な弾道で効率よく飛距離が出ていた。オープンフェースの『HL MAX』もあるので、両方試打してから選ぶといいだろう。
これが「G430 HL SFT」ドライバーの計測データだ!
重心深度は43.0ミリ。ヘッド後方のウェイトが標準『SFT』よりも約8g軽いので、『SFT』よりも重心深度は3.5ミリ浅くなっている。また、左右方向の慣性モーメントは4821g・㎠と標準的なので、ミスに強いモデルとは言えない
リアルロフト角は12.6度と大きい。製品誤差は当然あるが、これまで計測した同じ軽量モデルの『HL MAX』は10.7度、標準『SFT』は11.9度なのでもっともロフトが大きく、球を上げやすい。
また、低重心率は67.9%。フェース高さは54.2ミリとややシャローフェースで、スイートスポット高さが36.8ミリとやや高いのでヘッド全体としては高重心になり、スピン多めで弾道は安定する。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月23日号「松尾好員のヘッドデータは嘘つかない!」より