イチゴ栽培事業を始めたのはセブンハンドレッドクラブ
栃木県のセブンハンドレッドクラブは、閑散期の冬場に、ゴルフ場でのフットゴルフイベントも開催していて、ゆくゆくは総合アミューズメント施設の建設計画も考えているゴルフ場。今回の新規事業は「イチゴ栽培」で、すでに法人化させている。

自家製イチゴを生かしたメニューは、系列の温泉施設・お丸山ホテルやクラブハウスのレストランで食べられる(PH/同ゴルフ場のSNS写真より)
この事業は、地元農家の後継者不足や働き手の高齢化などで太陽光発電事業への農地転用が進んでいることから、地元の農業を守り、地域の発展と雇用を守りたいという想いから始まったもの。
従業員は、農業関係者など10名を新採用し、農地はゴルフ場から車で10分ほどの場所にある、約3000平方メートルの借地。そこへビニールハウス12棟を設営し、農機具も揃えた。栽培方法は近隣農家から助言をもらいながら進めている。
イチゴの品種は地元専用栽培「とちあいか」。昨年12月に初出荷

セブンハンドレッドクラブは美しい池が配される林間コース。設計は和泉一介氏
栽培するイチゴの品種は、県内のみ栽培が認められている「とちあいか」に定め、昨年の9月頃に苗を植え、12月末には初出荷をスタート。総出荷量は、今年5月の時点で約8トン。そこに至った経緯を、同クラブ代表取締役の小林忠広氏は次のように述べている。
「幼い頃からさくら市を見ていますが、高齢化していく農家を見て、日本の農業を守りたいと考えました。栃木といえばイチゴというわけで、その生産に参入したわけです。またイチゴ狩りなど観光客の誘致にもなれば、少しでも地域に貢献できるのではと」

セブンハンドレッドクラブではフットゴルフイベントも行っている(PH/Shinji Osawa)
ゴルフ場経営コンサルタントの菊地英樹氏は、「ゴルフ場にはどんな田舎でも道路や電気、水道などインフラが整備されています。これを活用しない手はありません。小林社長は、3代目で30歳と若いですがアイデアマンなうえ、『ゴルフ場は地域の共有財産』との考えを持っていると聞きます」
現在、イチゴは商標登録を申請していて、今年中には名称がつくという。さらにお米の生育(稲作事業)にも着手し、農地を倍に拡大する計画も浮上している。過疎地を逆手にとったセブンハンドレッドクラブの農業事業に注目だ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年6月20日号より