多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏は「クラブ選びは重心選び」と表現する。最新のギアを計測・分析するなかで、注目データをピックアップし、読み解く。今回はフォーティーンの「ゲロンD DX-001」ドライバー。クラブ選びの参考にどうぞ!
画像: 【試打クラブスペック】●ロフト角/9.0度 ●ライ角/59.5度 ●ヘッド体積/460㏄ ●価格(税込)/7万7000円 ※すべてメーカー公表値

【試打クラブスペック】●ロフト角/9.0度 ●ライ角/59.5度 ●ヘッド体積/460㏄ ●価格(税込)/7万7000円 ※すべてメーカー公表値

オーソドックスなヘッド形状の長尺ドライバー

ゴルフクラブに求めるのは「力学的優位性」と「そのプレーヤーに応じた振りやすさ」というフォーティーン。その最新ドライバー『ゲロンD DX‐001』を紹介する。

試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角9.0度、シャフトは純正『FT‐50dカーボンシャフト(S)』仕様。掲載数値はすべて実測値になる。

クラブ長さが46.5インチと非常に長い長尺クラブ(60度法計測で46.75インチなので、46インチローカルルールには不適合)だが、クラブ重量が291.9gとやや軽く、しかもスウィングウェイトもC8.0と小さいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが286万g・㎠に抑えられている。この数値であれば本来はドライバーのヘッドスピードが42~43m/sくらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計といえる。

全体にオーソドックスなヘッド形状だが、時計の文字盤でいう1時方向の張り出し感があり、また横幅が広くないので、アドレスではやや縦長形状イメージが出ている。

つかまるイメージが強いヘッドと、しっかりしたシャフト

実際に試打したところ、アドレスでは「さすがにクラブが長い」と感じるが、61.5度と超アップライトなライ角と、フェースアングルが1.0度フックの少しフックフェースで、球をつかまえたいイメージが伝わってくる。ヘッドの後方が低いシャローバック形状で、インパクト付近をアッパーブローにスウィングしやすいイメージが出ている。

試打クラブは他のシニア向け長尺ドライバーと違い、シャフトがしっかりしていて、インパクトの再現性や球のつかまりはいい感じで、競合クラブとは一線を画すことが手にしただけでわかる。前述のクラブ全体の慣性モーメント数値の対象ユーザーどおり、ヘッドスピードが42~43m/sくらいのゴルファーがしっかりスウィングできそうだ。

画像: 重心距離は43.0ミリと非常に長い。またヘッド後方が低くなるシャローバック形状なため、インパクト付近でアッパーブローに振れるイメージが出やすい

重心距離は43.0ミリと非常に長い。またヘッド後方が低くなるシャローバック形状なため、インパクト付近でアッパーブローに振れるイメージが出やすい

60度法計測で46.75インチの長さなので、うまくミートするには技術が必要だが、一般的な長さのドライバーと同じ振りやすさのクラブ全体慣性モーメントなので、長尺ではあるものの振りにくさを感じることなく、いつもと同じスウィングで打てることが最大の魅力だ。

自分のクラブでキャリー200Yくらいの元気なシニアゴルファーに打ってもらったが、球をつかまえながら効果的に飛距離を伸ばしていた。クラブ長さが46インチを超えた長尺ドライバーなので、芯を食わせるにはそこそこの技術が必要そうだが、競合する長尺ドライバーとは違い、クラブの振り感としっかりしたシャフトで、競技を引退した元気なシニアゴルファーがもう一度、あの頃の飛びを得られそうなクラブだ。

これが「ゲロンD DX-001 」ドライバーの計測データだ!

フック1.0度のフェースアングルに加え、61.5度もある超アップライトなライ角で、球をつかまえるイメージが強い。

フェース高さ53.7ミリとシャローで、またヘッド後方が低くなるシャローバック形状なため、インパクト付近をアッパーブローにスウィングしやすい。

重心距離は43.0ミリと非常に長く、またネック軸回りの慣性モーメントが7869g・㎠と大きいため、ヘッドの返りは緩やかでフェード系弾道になりやすい。

画像: クラブ長さは長尺仕様。ヘッド重量は187.2gと非常に軽く、スウィングウェイトもC8.0と小さい

クラブ長さは長尺仕様。ヘッド重量は187.2gと非常に軽く、スウィングウェイトもC8.0と小さい

※週刊ゴルフダイジェスト2023年6月20日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より

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