「体温が高く、汗をかきやすい人は蚊に刺されやすい」(白井先生)
夏が近づいてくると、蚊やブユ(関東ではブヨ、関西ではブトともいう)の被害の声が聞こえてくる。なるべく被害に遭いたくない、そして遭ったときの対処は……。白井良和先生に聞いた。
まず、ゴルフ場でなくとも遭遇率が高い蚊について。そもそも、なんで人の血を吸うのか。
「人や動物の血液には産卵に必要な栄養素が豊富に含まれているからです。ですから、ブユもですが、血を吸うのは産卵時のメスのみです」
そして、血を吸われるとかゆくなるのは
「蚊の唾液に人間がアレルギー反応を起こすから」
反応には個人差があるが、これは刺された人の体質の差による。よく歳を取ると蚊に刺されにくくなるという人がいるが
「実は年齢はあまり関係ありません。そういう方はその年齢に達するまでに蚊にたくさん刺されて免疫がついたため反応しなくなっている可能性があります」
ただ、実際に「蚊に刺されやすい」という人がいるのは確か。というのも“蚊が寄ってくる要素”があるから。
「温度、二酸化炭素、水が三大要素とされています。ですから体温が高く、汗をかきやすい人は刺されやすいと言えるでしょう。また、実験では足のにおいや顔の脂にも反応することがわかっています」
という。「ギクッ」としている方もいるのでは?
「足特有のにおいであるイソ吉草酸という物質は蚊を誘引すると考えられます」
虫に刺されたら、流水や冷やしたタオルなどで冷やすこと
ちょっと意外かもしれないが、虫対策には
「なるべく全身を清潔に保つことが大事」
なのだ。とくに足のにおいには要注意だ。体の次はウェア。
「蚊は色を識別できると言われていて、暗い色・濃い色を好むとされています」
虫の被害を避けたければ、暗い色、濃い色のウェアは避けるのが吉。また
「白黒の帯や格子模様が蚊の視覚を刺激し、より寄って来やすいことも」
とのことなので注意を。蚊の針が届かない、ややダボッとしたウェアにするのも効果がある。
もちろん、市販の虫よけスプレーも有効。「ディート」や「イカリジン」という成分が含まれたものが効果があるが、「ディート」は年齢により使用回数に制限があるので、小さな子どもに使用する際は注意書きをチェックして。
「ディート」「イカリジン」とも、ゴルファーの二大大敵・蚊&ブユに効果がある。
刺された場合の対策は、市販のかゆみ止め、虫刺され薬だが
「あとは冷やすこと。保冷剤だと刺激が強すぎる場合があるので流水や冷やしたタオルなどがいいでしょう」
とのこと。そして、ゴルフ場、特に池や川などの水辺で遭遇率の高いブユ。
蚊やハエの仲間なので対策も蚊と基本的に同じなのだが、ブユの場合、蚊が皮膚を刺すのに対し、皮膚を噛み切って吸血するため、かゆみが強く、出血を伴うことも。
場合によっては悪化しやすいので、腫れやかゆみが酷い場合は皮膚科を受診しよう。
できるだけ、池やクリークに近づかないこと
応急処置としては、かゆみの原因となる唾液を取り除くこと。注射器のような器具・ポイズンリムーバーが市販されているが、なければ清潔な水で流しながら唾液を洗い流そう。
また、ブユに刺された場合のかゆみにはステロイド系(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルなど)のかゆみ止めが有効。市販のかゆみ止めを買う場合は成分を確認してみて。
蚊やブユに対し、ゴルファーができる対策としては
「まず水辺になるべく近づかないこと」
池やクリークは要注意だ。そして
「体を清潔に保ち、においに注意する。ウェアは薄い色の単色のものを選び、露出は少なめにする。虫よけ剤を使う」
など。そして、蚊に刺された場合、ブユに噛まれた場合ともに、対処は基本的に「冷やす」こと。
特にブユの場合、皮膚が噛み切られた状態なので「たかが虫刺され」と甘く見ないようにしよう。
アウトドアショップのおすすめは「手首や足首に巻くタイプ」
虫対策グッズは、もちろんドラッグストアやスーパーなどにもあるが、穴場はアウトドアショップ。
今回はアウトドア用品やゴルフ用品が揃う「アルペントーキョー」(新宿駅東口)でチェックした。
選び方を聞くと
「蚊、ブユ、アブ、ヒルなど、どの虫に効くのか、まずはしっかりチェックしてください。あとは、皮膚に直接かけるのか衣類や靴にかけるのか、基本的なことですが必ず確認を」
とのこと。最近のおすすめや売れ筋を聞いてみると
「手首や足首に巻くタイプの虫よけが出ています。カラーもさまざまで、ファッション性もいいですよね。定番のハッカオイルは、水で濡らすとひんやりするタオルに染み込ませて使うのはどうでしょう。首に当てるとひんやりして、虫対策にも暑さ対策にもなります」
また、虫が嫌がる成分を繊維に入れることで、衣類で虫よけできるタイプも。
さらに、昨年、品薄になるほど人気だったトンボの形の「おにやんま君」は「アルペントーキョー」でも依然人気。今年は豊富に入荷しているそうだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年7月4日号「ゴルファーのための虫問題 傾向と対策」より