「重心距離率」と「重心深度」が大切になってくる
みんゴル取材班(以下、み):アイアンは重心距離が短いものは難しそうだし、長くてもヘッドが返ってこないイメージがあります。ふつうのアマチュアにはどちらがおすすめですか。
宮城:アイアンの重心距離は短いもので30数ミリから長いものだと45ミリくらい。かなり幅がありますが、平均すれば40ミリ弱くらいでしょう。仮に重心距離を40ミリとしましょう。「ゼクシオ」のようなオーバーサイズだと40ミリでも重心はフェースの真ん中にきます。しかし「スリクソン」のようにコンパクトなヘッドだと真ん中よりもかなりトウ側に寄ることになります。したがって、アイアンを重心距離だけで一律に比較することはできません。比べる場合は『重心距離率』で見るべきです。
み:『重心距離率』とはなんでしょう。あまり聞き慣れない用語ですが。
宮城:重心距離をヘッド長で割った数値で、ヘッドの長さに対して何%の位置に重心があるかを表します。重心がヘッドの真ん中付近にあれば長いし、ヒール側にあれば短いといえます。真ん中よりトウ側にあるアイアンは現実的にはありません。
み:なるほど。では、ドライバーのヘッドスピード40m/sくらいのスライサーには、重心距離率の長いものと短いもののどちらが合いますか?
宮城:まず、ヘッドスピードは関係ありません。選ぶときの基準にして欲しいのはスウィングテンポです。スウィングテンポが速くバチンと叩く人には、重心距離率が短いもののほうヘッドが早く戻って来るので合います。逆にゆったりしたテンポでヘッドの戻りを待つ余裕のある人なら長めのほうが飛ぶ可能性があります。また、手が前に出てヘッドが遅れるシャンクすれすれのスライサーなら短いほうがフェースを間に合わせやすいでしょう。
み:重心スペックでほかに気をつけるべきことはありますか。
宮城:重心深度です。昔のアイアンの重心深度はあってないようなものでしたが、いまのクラブはウェイトなど色々なものをつけているので深さが出てきています。重心距離率が長いものは重心深度が深くないといけないし、短いものは浅いほうが振りやすくなります。ところが、いま流行っている中空アイアンなんかは重心を深くすることが簡単なので、重心距離率の割に重心深度が深いものがあって、チーピンが出る人が増えています。