「ブッチは最高のコーチ」とリッキー・ファウラーは語る
ロケットモーゲージクラシックで4年5カ月ぶりの勝利を挙げたファウラーは、記者会見で「ブッチは最高のコーチ。選手が持っているものを引き出し、ありのままのスウィングで最高の状態を作り上げてくれる。選手の得意な部分をさらに伸ばし、弱点を的確に指摘する」と語った。
ファウラーがT・ウッズを筆頭に3人の世界ナンバー1を育てたハーモンの門を叩いたのは10年前の12月。「メジャーで勝てるゴルフ」を目指し二人三脚で改造に取り組むと、15年にプレーヤーズ選手権で優勝。世界ランク4位に上り詰めたが、メジャーでは勝てなかった。
一緒に仕事を始めた当時、ハーモンは周囲に「彼は自分が育てる4番目の世界ナンバー1になる」と豪語していたが、17年にはスカイスポーツにこんな話をしている。「キミがなりたいのはインフルエンサーなのか、ゴルフのプロなのか選ばなければならない。SNSの世界ではキングかもしれないが、キミがやるべきことはそれじゃない」
愛情から出た言葉だったが、ファウラーはそれが気に入らなかった。そして19年に破局。ファウラーはジョン・ティラリーと組んだが、29試合連続でトップ10を外し、世界ランク185位まで降下した。それでも彼はファンにサインし、スランプを脱出するすべを考えながらメディアの質問に真摯に答え続けた。
ハーモンは昨年あたりから「ファウラーが自分のところに戻ってくる」と予言していた。そして昨秋コンビを復活。初日62の大会記録をマークした全米オープンでファウラーは、「ブッチの声がして、彼がリングサイドにいると思うだけで自信が湧く」と語っている。
選手はコーチに技術だけを教えてほしいわけではない。自信を持たせ、「そのままでいいよ」と背中を押してくれる人が必要なのだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月1日号「バック9」より