長良川CCは、パー3が10ホールとパー4が8ホールの18ホール
そのゴルフ場の名は長良川CC。1958年、長良川沿いの県営グラウンド内に9ホールのコースが生まれた。
岐阜県第1号のコースで、同CCの前身である。その後、より本格的なコースを目指して岐阜市に一番近い土地を求め、現在の長良雄総北裏山に7万坪を確保した。
清流長良川を眼下に岐阜城の金華山を南に眺める絶好の景観。設計を上田治に依頼。
倶楽部創設の中心になったのは渡辺甚吉という人物で、岐阜一有力な資産家として知られた。英国留学を果たし、戦前は勅選貴族院議員、戦後は参議院議員を務めた。
63年、9ホール2235ヤード・パー31で開場。次いで9ホールを増設し、73年、18ホール4220ヤード・パー62として現在に至っている。
上田によるレイアウトは、パー3が10ホール、パー4が8ホールというホール立てで、ブラインドがない。そのルーティングはどのホールからでも金華山を仰ぎ見ることができ、無理に造りこんだホールがない。
JGAゴルフミュージアム参与の武居振一氏は、
「街の中心にあり、地元の名勝を借景にデザインされたというのは、地元の最有力倶楽部が核となった証拠。上田は、ひっそりとしながらも小粒でもピリリと辛い上質なコースを造りたかったのでしょう」
同CCのすぐそばには同じ上田監修の岐阜関CCがある。
同CCは難易度も高く距離も長いことから、同じ岐阜県に上田が関与した「一番長いコース」と「一番短いコース」が併存しているのだ。2カ所の会員という人も多い。
その1人、岐阜関CCコース委員会委員長の中原丈夫氏は、
「競技ゴルフなどやった人でも、高齢になってくると岐阜関は手に余ると、多くの人は長良川のほうに流れてきています」
こうして長良川CCは若年男女ゴルファーも訪れるようになり、隠れた人気コースとなっている。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月1日号「バック9」より