自分の子どもがゴルフで成功するには、どうすればよいのか。数多くのトップジュニア選手を育成してきた青木翔コーチ。300人以上のジュニア選手にインタビューした武市悦宏プロ。そして国立大学に現役合格しながらも、その後ツアープロになった上田敦士プロの3人が真剣に話し合った結果、たどり着いた結論とは?

我が子をゴルフで成功させる唯一の方法(前編)はこちらから

ゴルフ嫌いにさせないことに全力を傾けるべき

上田 色んな経験をさせてあげることが、親がやるべき大切な役割の1つだという結論が出ました。じゃあ、子どもがゴルフを好きになって選んだとして、そこから先、親御さんにできることってありますか?

青木 ずばり、とにかく嫌いにさせないことです。好きにさせることはできないけど、嫌いにさせないことはできる。 これ言葉遊びじゃなくて、僕が今日一番言いたいことかも。

上田 親が何をしたら、子どもがゴルフを嫌いになっちゃいますか?

青木 強制だね。本人がゴルフを好きなのに、もっと練習しろとか言われたら嫌になるでしょ。特に中高生なんて、親の言う事を聞きたくない年齢なんだから。

武市 オレもハイボール好きだけど、「すっごく美味しいぞ!」「どうだ美味しいだろ?」ってしつこく言われたり、「好きなんだからもっと飲まないと」なんて言われたら嫌になるわ(笑)

上田 それ、勉強も同じですね。親から「やれやれ」言われたらやりたくないし、幸い僕の親はほとんど口出ししなかったのと、たまたま塾の先生が面白い人で、そこで楽しくなって勝手にやるようになったということも重なりましたね。

青木 だから機会を提供してハマるのを待つっていうのが、子どもへの良い寄り添い方なんだと思います。

子どもの成長を妨げる毒親の特徴

画像: 青木翔(右/1983年生)、渋野日向子の全英女子優勝をサポート。2020レッスン・オブ・ザ・イヤー。武市悦宏(左/1976年生)、ツイスト打法考案、飛距離を100Y伸ばし2013レッスン・オブ・ザ・イヤー。上田敦士(中/1997年生)、名古屋大卒プロ。アジアを中心にツアー挑戦中

青木翔(右/1983年生)、渋野日向子の全英女子優勝をサポート。2020レッスン・オブ・ザ・イヤー。武市悦宏(左/1976年生)、ツイスト打法考案、飛距離を100Y伸ばし2013レッスン・オブ・ザ・イヤー。上田敦士(中/1997年生)、名古屋大卒プロ。アジアを中心にツアー挑戦中

青木 最悪なのはスコアやプレーのミスという「結果」について、怒る親。

上田 ジュニアのころ、会場で怒鳴りつけられてたり、鉄拳食らってる選手を結構見てきました。

武市 それ、ジュニアゴルフの闇(笑)

青木 だから親に怒られないようにしようと思って、スコアを書き換えたり卵を産んだりしちゃう(ロストしたボールを自分で出すこと)。ゴルフの内容やスコアに対して怒っても、何ひとついいことはありません。

武市 中学生以下のカテゴリーの大会でスコアがちょっとよかったり、順位が上になったとしても将来への影響はないのにね。

青木 僕は成功よりも、失敗からのほうがたくさんのことを学べると思っています。ミスの原因はなんだろう。どうしたらその壁を乗り越えられるだろうと自分で考える最高の機会ですから。

武市 それを親がしゃしゃり出てきて、自分の考えていることをガーッとしゃべり散らして、おまけに「なんでこんなスコアなんだ」とか怒鳴られたら、振り返りどころじゃないよね。

画像: インタビュー中に親がしゃしゃり出てこないときは、子どもたちは目を輝させながら夢中になって話してもらえる傾向にあると武市プロ

インタビュー中に親がしゃしゃり出てこないときは、子どもたちは目を輝させながら夢中になって話してもらえる傾向にあると武市プロ

上田 そんなことされたら、ゴルフ大好きの僕ですら嫌いになっちゃいます。

武市 でもね、オレ、高校生の娘がいて、小学生のころちょっとクラブを振り始めたの。ひいき目なしに筋がいいなって思ってたんだけど、一度だけ強く言っちゃったんだよ。「そうじゃないでしょ!」みたいに。それから一切クラブ握らなくなっちゃった……。

上田 武市プロでもそんなことが!

武市 なんか熱くなってたんだと思う。メチャクチャ悪いことしたなって後悔しています。

青木 たいていの親はそれでも無理やり続けさせて、子どもの人生を壊しちゃう。

武市 そういえば強くなった選手の親御さんって、ただ練習を見てるだけみたいな感じが多かったな。

青木 それがいいと思います。コーチの僕ですらそうですから。あと、小さい頃は一緒に楽しむのもオススメです。「先に的に当てたほうが勝ち」とかゲーム対決っぽくしてみたり。

武市 逆に選手がかわいそうだなっていうのが、本人にインタビューしてるのにそれを遮って自分でしゃべり出しちゃう親。

青木 いそうですね。

武市 たとえば「目標にしているプロは誰?」とか「得意のクラブは?」聞くでしょ。そうすると「この子は、マキロイが好きなんですよ。でもいまは、パターでスコア作るゴルフをやってて将来的には……」みたいに、何を聞いてもすべて親が答えちゃう。

青木 僕は、最初に選手と話すときには「2人きりにしてください」とお願いしています。そうしないとたいていの場合、親が口をはさんでしまい子どもの本音が聞けないので。

上田 そういう親御さんって、子どもを自分のロボットみたいに扱っている感じがします。

青木 なんでもかんでも管理をしたがるよね。練習内容からスケジュール、食べ物、持ち物、友達の付き合いまで全部に口を出す。さらに、子どものキャディバッグや荷物なのに、親が先回りして運んでいる。

上田 たしかに、よくいました。

青木 これを当たり前だと子どもは思ってしまうから、ある意味、子どもに罪はないと言えませんか。

画像: 上田プロは、オフになると支援してもらうために企業へスーツを着て自身で営業を行っているという

上田プロは、オフになると支援してもらうために企業へスーツを着て自身で営業を行っているという

武市 まさに毒親ってことか……。子どもは親の操り人形じゃないって言いたい。

青木 家庭の方針という部分もあるけど、僕は選手に自立をしてもらいたいから、子どもと直接LINEでやり取りしてます。

上田 全部やってもらってたら、大人になってどうやって生きていくんですかね? たとえば僕は直近で海外の試合を転戦していましたが、スケジュールの管理とかはもちろん自分。でも、口にするものの管理までされてたら、ひとりで生きていけないじゃないですか。

武市 ずっと隣にいるんじゃない? で、お付き合いする相手も決めていったりして、プロポーズも付いて行って「ほら、今このタイミングだよ」とか言ったりして(笑)

青木 極端に聞こえるかもしれないけど、そういうことですよね。実際にプロになったけど自立できずに伸び悩む選手は多いし。人生のセルフマネジメントができないのに、ゴルフのマネジメントなんてできるわけがないですから。

武市 普通に考えて親が先に死ぬわけでしょ。そうなったら本人はメチャクチャ苦労することになる。

上田 自分の子どもがちゃんと社会に出て生きていけるようにって考えてるなら、干渉は減らしていったほうが良さそうですね。

武市 躾と干渉は違うからね。過干渉や過保護すぎると、将来、苦しむのは子ども自身だから。いま思い返すと、取材を通じて出会った後、強くなったジュニアの親御さんって、ただ練習を見てるだけみたいな感じが多かったかもしれないな~。

勝つこと=人生の成功ではない

上田 なんか答えが出た気がしますね。強制させないで一緒に楽しみ好きになるのを待つ。

武市 さすが、上手くまとめたね(笑)

上田 そうやって寄り添っても、みんながプロになって活躍できるわけじゃないのが難しいところですよね。

青木 その通り。試合で賞金を稼いで食べていける枠は限られてるし、ぶっちゃけ運もある。でも、プロとして食べていくことだけが幸せなのかっていうとそうじゃない。「プロになる=幸せ」と考えているのは親のエゴなんです。

画像: 本人がゴルフを好きなのに、もっと練習しろと強制したら、ゴルフが嫌いになってしまう。中高生なんて、親の言う事を聞きたくない年頃です、と青木コーチ

本人がゴルフを好きなのに、もっと練習しろと強制したら、ゴルフが嫌いになってしまう。中高生なんて、親の言う事を聞きたくない年頃です、と青木コーチ

武市 好きなことやってる人生が幸せでしょ!

青木 そのとおりだと思います。ゴルフは幸せになる手段にすぎない。だから自分が成し遂げたいことに一生懸命になったり、そもそも夢みたいなものを自分で見つけたりできる人間にならなきゃいけない。

武市 パパママの言うとおりゴルフの練習だけしてたら、そうはならないよね。

青木 上田プロは好きなゴルフで人生を幸せなものにするため、すごく考えていると思う。トレーニングのこととか、試合も海外遠征して、その費用も自分でスポンサーさんを集めていますし。

武市 何より今、楽しそうだもんね。

上田 ぶっちゃけマジで楽しいです。

青木 嫌々ゴルフを続けてたらこんな顔にはならないですよ。そして話をしていると、すごく応援をしたくなる。

武市 勉強ができて、プロにもなれて、おまけに人に好かれる魅力もある。そんな上田プロから改めてジュニアゴルファーの親御さんにメッセージを。

上田 「好きこそものの上手なれ」です!

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