LIVゴルフに関連するPGAツアーの資料を、フロリダ州の裁判所が、誤って公にしてしまった。375ページにもおよぶ機密文書が明らかになったことが波紋を呼んでいる。

この資料が公になってしまった経緯が、本当に誤って出たものなのか、それとも人為的な何かが働いているのか、現時点では定かではない。とはいえ、本件で注目すべきは3点ある。1つ目は、LIVゴルフ発足の約半年前となる2021年6月に、欧州ツアーのキース・ペリーCEOが、PGAツアーと提携をしているにもかかわらず、「かつてのように協力し、一緒にやっていけることを望んでいる」とサウジアラビアの公共投資基金にメッセージを送り、実際にその1カ月後にマルタで会合をしていた点。

2つ目は2022年6月。PGAツアーがLIVに対抗するべく欧州ツアーを買収することで、両ツアーの関係をより強化しようとしていたこと。PGAツアーは、欧州ツアーが資金的に脆弱だとの調査を通じ、IMG社が持っていた欧州ツアーのグループ株を取得していた点。

そして3つ目が、昨年のトラベラーズ選手権で行われた選手会ミーティングで、タイガー・ウッズが語るスピーチの台本を、PGAツアー側が事前に用意していたこと。

「ひどい状況だ。LIVゴルフはPGAツアーを乗っ取ろうとしている」といった言葉をタイガーに語らせようとしたことが明らかになった。これを受けてタイガー自身は、「こんな書類は初めて見た。そもそも、この時の選手会ミーティングには参加していない」とSNSで反論した。

画像: PGAツアーのコミッショナー、ジェイ・モナハン氏。LIVと統合後、新団体のCEOにも就く予定(写真は2019年ZOZOチャンピオンシップでの来日時)

PGAツアーのコミッショナー、ジェイ・モナハン氏。LIVと統合後、新団体のCEOにも就く予定(写真は2019年ZOZOチャンピオンシップでの来日時)

一連の騒動を知った一般ゴルファーは、「PGAツアーが選手の発言をコントロールしていたのでは?」といった疑念の声をSNSで多数発信。ちなみに、公にしてしまった当のフロリダの裁判所では、かつてLIVゴルフがPGAツアーを「独占禁止法違反」として訴訟を起こしたこともあったが、現在、その訴訟は取り下げられている。

今後、アメリカ議会やメディアによる開示請求で、さらに具体的な内容が明らかになっていくはずだ。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月1日号より(PHOTO/Tadashi Anezaki)

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