「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はアイアンのロフト角の選び方について教えてもらった。
画像: 「プレーの質を良くするにはキャリーを増やすこと、そのためにもスピンを増やす必要があります」と宮城氏は語る(Photo/Takanori Miki)

「プレーの質を良くするにはキャリーを増やすこと、そのためにもスピンを増やす必要があります」と宮城氏は語る(Photo/Takanori Miki)

実はスピンが不足して悩むゴルファーは多い

みんゴル取材班(以下、み):とあるメーカーでアイアンのフィッティングを受けてきたのですが、ロフト34度のアスリートモデルが合っていると診断されました。ふつうのアベレージゴルファーがツアープロ御用達のアイアンを使っていいものでしょうか。

宮城:34度というとマッスルバックかコンパクトキャビティですね。実は一番球が上がりやすいのはロフトがあってスピンが入るマッスルバックです。ミート率がまあまああって、あとはシャフトの重さと硬ささえ合わせれば、ヘッドスピード40m/s程度のアマチュアでも十分打てますよ。

み:ちなみにいま使っているアイアンは7番アイアンのロフト角が29度の飛び系です。それでも飛んでいないのに、ロフトを寝かせてしまって大丈夫ですか。

宮城:スピンが少なすぎて飛んでいない可能性もあります。いまの飛び系アイアンはスピンがものすごく少なくなっています。ロフトも29度といえば昔の6番並みです。それをハンドファーストで当てれば5番とか4番並みのロフトになります。

み:飛ばないからロフトを立てるのではなく逆に寝かせるわけですか。

宮城:そうです。それにストロングロフトはスピンが安定しないので、縦距離もばらつきが大きくなりがちです。飛距離が出たとしてもボールがグリーン上にいないケースが増えるし、OBの確率も上がります。

スピンが増えると縦距離のばらつきが少なくなる

み:ロフトを寝かせればスコアもよくなりますか?

宮城:飛距離が出なくてもスピンが安定するので番手ごとの距離を正確に刻めるようになります。もし距離が欲しければ6番や5番を使えばいい。ロフトが寝ていればミドルアイアンも打てます。プレーの質をよくするには何よりキャリーを増やすことです。そのためにもスピンを増やす必要があります。ロフトは30度くらいあったほうがスコアはまとまると思います。いまは飛び系アイアンが流行っていますが、プロ・アマ問わずスピンが不足して悩んでいるゴルファーが多いので、1、2年経てばロフトがあってスピンの入るアイアンが復活してくるかもしれませんよ。

み:ちなみにアイアンの適正なスピン量はどれくらいあればいいですか。

宮城:昔は番手の数字かける1000回転といわれていましたが、いまはボール自体のスピンが減っているので、番手かける800か900回転くらいでしょう。PWで8000回転、スピンをかけにいったときに9000回転くらいあれば十分です。

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