アマチュア競技「関東ゴルフ連盟7月月例競技」において、不幸な事故が起きてしまった。出場していた熟練ゴルファー(Aさん)が熱中症で不帰の人となった。
画像: 日差しが強い酷暑の日には、プレーを"やめる勇気" も必要だ(写真はイメージ)

日差しが強い酷暑の日には、プレーを"やめる勇気" も必要だ(写真はイメージ)

「身の危険を感じてまでやるものではありません」(専門家)

現地でプレーしていた人の見聞によれば、Aさんはインからスタートし、最終ホールの1つ手前にあたる8番で体の不調を訴え、いったんはベンチに横たわっていたという。

それでも、あと2ホールだからとプレー続行。そして最終ホールのパットを打つ直前に倒れ心肺停止状態となり、AEDでの応急処置が施されたものの、意識は戻らなかった。

救急搬送されたが息を吹き返すことなく亡くなったという。ご冥福をお祈りしたい。

会場は東京GC。参加したのは128名(男子100名・女子28名)。

この日の気温は35度、風速3m。参加した一人によれば、

「朝の練習場から暑いと思っていたが、風も少しあり、この地域なら仕方ないと思っていた」

確かに同GCのある地域は夏、高温になることで知られるが、名門を会場として借りられることもあり、同コースでの開催を望む出場者も多いという。

事故が起きたことで、競技は中止となった。

大会を主催した関東ゴルフ連盟は、ホームページで事故の報告をしている。

「最大限の注意を払ったのですが、申し訳ないとしか……。涼しい場所を会場に選ぶのは当然選択肢にあるのですが、涼しいエリアのゴルフ場の“かき入れどき"の経営的収支を考えると言い出せない部分もあります。これからの対策として、カートを使う/休憩を強制的に設けるなどの対策を考えていこうと思います」(同連盟事務局長・岸部明彦氏)

もちろん開催者側にも何らかの対策は必要だが、個人の健康状態まで推し量ることは難しい。

同大会の参加資格(男子)はハンディ4.4以下の上級者であり、暑さ対策を怠っていたとは考えづらい。

それでもこのような事故が起こるほどの酷暑に近年見舞われているからこそ、これまで以上に”やめる勇気”を持つことが、プレーヤー側にも必要かもしれない。

より徹底した熱中症対策を自律神経研究の第一人者である順天堂大学教授の小林弘幸医師に聞いた。

「この夏の暑さは異常というより危険という意識を持ち、以下を守っていただきたいです。①前日の睡眠が十分でなければ参加しない。②前日はアルコールを控える。③ハーフ最低1本はペットボトル(500㏄以上)の水分補給。④ハーフ後の休憩でアルコールは控える。⑤毎ホール首や手のひらに冷水をかける。身の危険を感じてまでやるものではありません」

いくらゴルフが好きでも、大切なのは命。肝に銘じたい。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月8日号「バック9」より

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