ツアーキャディの多くはかつてプロを志していた。実際にプロになったが、稼げず生計を立てるためキャディに転職するケースもある。Netflixのドキュメンタリー『フルショット』に出演したPGAツアープレーヤー、ジョエル・ダーメンのキャディ、ジュノ・ボナリーさんもすご腕。7月中旬、自身のホームコース(アイダホのルイストンG&CC)で雇い主のダーメンとのラウンドをSNSでライブ中継したボナリーさん。
両者一歩も引かぬ展開のなか、17番終了時点で2人が7アンダーで並び、勝負は18番に持ち越された。最終ホールのパー5でバーディを奪ったダーメンがかろうじて1打差で勝利したが、64&65の大接戦。あわや雇い主を撃破する勢いだった。ボナリーさんは同コースで「61」のコースレコードを保持。そんなキャディにバッグを担がれたら、選手も言うことを聞かざるを得ない?
コリン・モリカワのキャディ、JJ・ジャコバックさんも、カレッジゴルフ出身の元ミニツアープレーヤー。ウェブ・シンプソンのキャディ、ポール・テソリーさんは、PGAツアーでプレーした経験を持つ。タイガーの初代キャディで、長年J・フューリックのバッグを担いだマイク・コーワン氏はスクラッチ(HC0)プレーヤー。YouTubeのキャディネットワークのインタビューでは、8人中4人がスクラッチで、ベストスコアは62・64とプロ並みだ。
普段、脇役の彼らが年に一度スポットライトを浴びるのが、3月にTPCソーグラスで開催されるザ・プレーヤーズ選手権前のニアピンコンテスト。浮き島グリーンの名物、17番パー3でキャディがワンオンを競うイベントは大会前の目玉。トッププレーヤーも池ポチャを連発するホールで、今年はベン・マーティンのキャディ、ルーク・ホプキンスさんが、1.5メートルにつけて優勝している。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月8日号より(PHOTO/Hiroyuki Okazawa)