ゴルフコース単独で文化遺産として認められれば意義は大きい
実は、香港政府が同GCの粉嶺(ファンレン)コースの一部にあたる9ヘクタールの土地を買い上げて1万2000戸の住宅を建設しようという計画を立てており、これを阻止するための施策。
「香港のランドマークとして持続可能な方法で繁栄し続けるため、私たちは生きた遺産ともいえる粉嶺コースを次世代に残したいと強く願っている」とプレスリリースで語るのは、同GCのアンディ・クウォック氏。つまりはユネスコに文化遺産として認められれば同コースは保護対象となり、政府の住宅建設をストップさせるのに役立つと考えているわけだ。
香港GCは1889年に創立した伝統あるコース。54ホールを擁する同GCは、一時期2億円を超える会員権価格が話題となった。これまで数々の大会が開催されており、この10月には欧州女子ツアーのアラムコチームシリーズが、11月には香港オープンの開催が予定されている。
本来なら世界遺産への登録申請をしたいところだろうが、世界遺産のほうは政府がユニセフに申請する必要があり、この住宅建設計画は香港政府によるものであることから、それは望めそうもない。
すでに少なくとも7つの世界遺産にゴルフコースが含まれているが、たとえばカナダのバンフスプリングスGCのように、自然遺産(カナディアンロッキー)のなかにゴルフ場があるケースであったり、あるいはゴルフ場の一部が世界遺産に"かかっている"という例もあるが、仮にゴルフコースが単独で文化遺産として認められるようになれば、世界遺産とまではいかずとも意義は大きいと言えそうだ。
いずれにせよ、香港ゴルフクラブの抵抗の今後について、見守っていきたい。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月8日号「バック9」より