ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回は、今年のミズノオープンで初優勝、日本プロで完全優勝を果たした平田憲聖について語ってくれた。
画像: 「地面を力強く蹴る動きもありながら、かかとが浮かないベタ足打法。粘りがある下半身の動きはマキロイのよう。腰から腰まで2、3回軽いハーフスウィング素振りの後アドレスに入り始動するまでのリズムは常に一定です」by佐藤信人

「地面を力強く蹴る動きもありながら、かかとが浮かないベタ足打法。粘りがある下半身の動きはマキロイのよう。腰から腰まで2、3回軽いハーフスウィング素振りの後アドレスに入り始動するまでのリズムは常に一定です」by佐藤信人

平田憲聖の地元に近い茨木CCでの日本オープンにも期待できる!

次代の日本のゴルフ界を担っていく選手として挙げられるのは、金谷拓実くん、中島啓太くん、蟬川泰果くん、そして先日の日本プロで史上最年少優勝を飾った平田憲聖くんでしょう。

前者3人は、アマチュアのうちにプロ競技で優勝し、世界アマチュアランキング1位になり、プロ転向後の成績の安定度(予選落ちの少なさやトップ10の多さ)がずば抜けているなどの共通点があり、ボクのなかでは同じグループのような感じがしていますが、平田くんは彼らを意識しながら静かに闘志を燃やして追いかけてきた感じで、プロの世界に入って今年急激に強くなってきた印象です。

中島くん、蟬川くんとは同じ学年。見た目はのんびりで真面目な優等生に見えますが、内に秘めた負けず嫌いの闘志を感じます。たとえばホストプロとして初優勝したミズノオープンでのプレーオフの攻め方。相手は「スーパースター同級生」の中島くん。それまで18番はスプーンを握っていましたが、プレーオフに入るやドライバーに切り替えます。けして飛ぶほうではありませんが、飛ばし屋の中島くんにそれほど置いていかれることなく3ホール目で決着をつけました。

この優勝で得た全英オープンは予選落ちでしたが、ここで何かをつかんだのか。帰国後の初戦が国内メジャーである日本プロ。終わってみれば完全優勝です。最終日にラウンドリポーターとして付いた感想は……前半の3ボギーはすべて3パット(1つはカラーから)。感情をほとんど表に出さない彼が時折り悔しそうなうなり声のような声を出していました。

アイアンが決まらないのでロングパットが残り、ファーストパットをショートしてセカンドパットを外すという悪い流れでした。バック9に入り、10番で長いパットをナイスタッチのパーでしのぎ、11 番ですごくよいティーショットを打ったところから流れがよくなったように感じました。

あの苦しいズルズル行きそうな流れでトップを譲ってからしっかり立て直して逆転したところはすごいですね。スコアボードは見ながらやっていたので、同級生たちが追い上げてきていたことも彼の闘争心に火を付けたかもしれません。

平田くんは21年、日本学生を制し、その年から始まった日本アマと日本学生の優勝者、日本オープンローアマにはサードQTから受けられる制度により、ファイナルQTで2位となりプロ転向します。
とにかく飛ばし、ガンガンバーディを重ねるタイプではなく、自身も「パーを重ねる我慢のゴルフが身上」と言います。雨の日に好成績を残しているのもそのためでしょうか。ツアー選手権では土砂降りの2日目に67を叩き出し、ハナバンクでも2日目の土砂降りのなか66で回りトップに立ちました。

今回の日本プロもかなり厳しい、平田くんが好きで得意なセッティングだったと言えます。秋の日本オープンは茨木CCで平田くんの地元、吹田市の隣の市ですから、また期待がかかりますね。

PHOTO/Hiroyuki Okazawa

※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月22・29日号「うの目 たかの目 さとうの目」より

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