欧州女子ツアーとの共催、アイルランドのガルゴルムキャッスルGCで行われた「ISPS HANDAワールド招待」で、アメリカ人のパノが三つ巴どもえのプレーオフを制し初優勝を飾った。「2カ月くらい前、誕生日の日に優勝したいな、と親友に話していたんです。それが現実になるなんて」と喜びを口にしたパノ。「現実じゃないみたい」「実感が湧かない」を連発するところが、いかにもティーンエージャーらしい。しかし実は彼女、アメリカのゴルフファンの間では知られた存在。
10年前、全米キッズゴルフ選手権に出場した当時9歳だった少女パノの挑戦が、ネットフリックスのドキュメンタリー『ザ・ショートゲーム』で放映され話題になった。
ジュニア時代注目されても尻すぼみに終わることは少なくないが、パノは順調にキャリアを重ね、2021年には梶谷翼がチャンピオンにも輝いたオーガスタナショナル女子アマに最年少で出場するなど、着実に実績を積んできた。各大学から引く手あまただったが進学はせず、昨年プロに転向すると、初挑戦のプロテスト最終予選会で上位に入り、ツアーカードを取得。そして12戦目となる同大会で栄冠に輝き、欧米両ツアーを通して今シーズンの最年少優勝者となった。
大会初日にはワーストスコアの76を叩いて大きく出遅れたが、2日目以降パッティングがさえまくり、最終日はなんと23パット。9バーディを量産し、キャリアベストの「66」をマーク。首位グループに追い付き、3ホールに及ぶプレーオフを制する劇的勝利だった。ちなみにパノは11 歳の頃、日本ツアー(2016年ヨネックスレディス)にも出場経験を持つ。引き続き注目したい選手だ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月12日号より