PGAツアーのアジア圏マーケティングディレクター、コーリー・ヨシムラさんによるツアーホットライン。今年の年間王者ビクトル・ホブランについて語る第2回。今シーズンの躍進について分析します。
画像: ビクトル・ホブランはPGAツアーで唯一のノルウェー出身プレーヤー。26歳。2019年プロ転向後、持ち前のショット力で順調にキャリアを重ねていき、今年ついに大ブレーク

ビクトル・ホブランはPGAツアーで唯一のノルウェー出身プレーヤー。26歳。2019年プロ転向後、持ち前のショット力で順調にキャリアを重ねていき、今年ついに大ブレーク

2022‐23シーズンが開幕する前、ビクトル・ホブランは有望な若手のひとりでしたがメキシコやプエルトリコなど、トッププロがスキップするマイナーな試合で3勝した若手選手に過ぎませんでした。

ところが今年、メモリアルトーナメントやプレーオフシリーズといったビッグイベントで3勝を挙げ、あっという間に勝ち星を2倍にしてJ・スピース(2015年)、J・トーマス(2017年)に次ぐ、史上3番目の若さでフェデックスカップ王者に輝いたのです。「すべてのショットに対処できると信じられるようになった。自分はできる、という強い気持ちを持つようになってからすべてが噛み合いはじめました」

その裏にはショートゲームの劇的改善がありました。ショットメーカーのホブランにとって唯一の欠点がグリーンエッジから30ヤード以内のパフォーマンスを示す「SG(ストロークゲインド)アラウンド・ザ・グリーン」。そのスタッツは、0.037で部門別93位と決してよくはありませんが、2021‐22年シーズンはマイナスで191位。1年間で100ランク近く上げたのですからスコアメイクの一助になったのは間違いありません。その影響はスコアだけではなかったようです。以前なら苦手意識が強かったグリーン周りで「自分はできる」とポジティブに向き合った成果がシーズン3勝を紡ぎ出したのです。

画像: ホブランは最近の主流、シャットフェース使いのショット名手だが、この「シャット」は、実はアプローチと相性がよくないという。技術的にはショートゲームでのソールの使い方を徹底的に見直した

ホブランは最近の主流、シャットフェース使いのショット名手だが、この「シャット」は、実はアプローチと相性がよくないという。技術的にはショートゲームでのソールの使い方を徹底的に見直した

シーズンを通して予選落ちなし。全米プロではブルックス・ケプカと優勝を争い16番でダブルボギーを叩くまで優勝したケブカにプレッシャーをかけ続けました。マスターズ7位、ザ・プレーヤーズ選手権3位。そしてクライマックスは、メジャーの舞台でもあるオリンピアフィールズで行われたBMW選手権、最終日の『61』から、ツアー選手権へと続く圧巻のプレー。トップ30が集結した最終戦で、ホブランの勢いを止める選手は誰もいませんでした。「ビクトルは完璧主義者」というのは、2019年から相棒( キャディ)を務めるシェイ・ナイト氏。「細部までこだわり、一心不乱に打ち込む働き者。技術も人間性もできる限り最高を目指す。それが彼の取り組んでいることです」

若き年間王者には無限大の可能性が広がっているようです。ネクストメジャーチャンピオン候補? もちろんホブランでしょう。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月3日号より(PHOTO/Getty Images ARRANGE/Mika Kawano)

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