キャメロンは、アイデアが閃いたら、いつでもどこでも描く
上の写真は、デザイナーであるスコッティ・キャメロン氏が実際に使用していた作業台の天板である。そこには、彼が今までに生み出してきたパターのロゴなどのアイデアが、所狭しと描かれている。
「スコッティ氏は、アイデアが浮かんだり、閃きがあったりすると、それをすぐに描き留めようとします。たとえば、食事をしているときであればテーブルクロス。それができないときはコースターなど。そのときどきの身近にあるものに、アイデアを残しておくのです」(スコッティキャメロン ゴルフギャラリージャパン 廣田氏)
例えば、絵画に使うパレットを模して作られたカラーサンプル(パターのロゴやサイトラインに入れる塗料のサンプル)のアイアン源泉は、コースターの裏に描かれていた。
いつでも、どこでも、思いついたものを形にしておく。そんな彼の行動が積み重ねられた作業台は、そのものがまるでアート作品のようである。
キャメロンと言えば、いつかはサークルT
キャメロンマニアには説明するまでもないが、サークルTとは、「TOUR(ツアー)」を意味する「T」の文字を、円(サークル)で囲んだスコッティキャメロンのロゴのこと。もしくは、そのロゴが刻印され、ツアープロが使用することを目的として作られたパターを指す。(※基本は、ツアープロに支給されるモデルだが、ごく少数が市販されている)
もともとは、スコッティ氏が、PGAツアーに送るパターの箱に、市販モデルと区別するために書き込んでいた、Tを丸で囲んだマークがその始まり。
初期のモデルには、小さなサークルの中にTの文字が刻印されていたが、近年のモデルでは、大型のサークルTのロゴに「TOUR ONLY」「FOR TOUR USE ONLY」などの文字が加えられたデザインとなっている。サークルTのパターには、ツアープロの好みに応じて、細かな調整がなされている。素材、ヘッドの重さ、フェースの厚さ、ネック形状、ミーリングの深さ、ネームやロゴの刻印、ペイントのカラーなどなど……。それらを調整することよって、打感やフィーリングをカスタマイズしているのである。
サークルTのパターは、その世界的な人気と需要に対して、供給量が極めて少ないため、現在は非常に入手困難な状況となっている。キャメロンマニアであれば、一度は手にしてみたいと願うサークルT。持たざる者は、それを手にする日を夢見て、今日もネットで情報を集め続ける。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月26日号、10月3日号より(PHOTO/Takanori Miki THANKS/スコッティキャメロン ゴルフギャラリージャパン・浜松シーサイドGC内)